解放軍
ようやく解放軍のアジトへと辿り着いた僕達だったが、弓を構えた男性が入り口に立ち塞がっていた。
「ここは解放軍のアジトだ。怪しい奴は通さないぞ。」
「早とちりしないで。仲間になってくれる人達を連れて来たのよ。」
「えっ、新しい仲間なのか。それなら奥の部屋に行ってくれ。だけど、洞窟には魔物が出るから気を付けろよ。」
その男性は僕に向かって、そう忠告してくれた。
「魔物か。気を付けて行こう。」
奥へ進んで行くと、地面からゾンビとスケルトンが姿を現した。
全部で10体ほどだ。
「うわあーっ、気持ち悪いよー。」
「どけっ、クリフ!」
ロビンが弓を放った。
僕も雷の剣で攻撃を仕掛ける。
ゾンビが1体、跡形もなく消滅した。
しかし残ったゾンビ達が次々と襲い掛かってきた。
「みんな、気を付けて!」
しかしこれまでの戦いで少しずつ経験を重ねていた僕達は、徐々にゾンビとスケルトンを消滅させていった。
「だあっ!」
「ふうっ。これで全部だな。」
「皆さん、お怪我はありませんか?」
「多少傷は負っているけれど、大丈夫みたいだ。」
「さあ、奥へ。」
クレアに案内されて更に奥へと進んで行った。
途中、これまでに犠牲になった仲間の墓なのだろうか、十字架が立てられていた。
「随分と奥まで続いているんだな。」
「アジトだからな。そんなにすぐに辿り着けるようにはなっていない。」
かなり歩いたところで、ようやく広い場所へと出ることができた。
「兄さん、この方達が私を助けてくれたんです。」
「アルムと申します。」
するとクレーベさんは解放軍のリーダーであるにも関わらず、気さくな様子で話し掛けてきた。
「やあ、君がアルムか。妹がお世話になったね。」
「いえ、そんな・・・。」
「本当に彼には世話になりました。ここまで来られたのも、彼がいたからこそです。」
「さすがはマイセン将軍の孫だけあって勇敢だな。」
クレーベさんはしみじみと僕を眺めると、言葉を続けた。
「なあ、アルム。頼みがあるんだ。今日から君が僕達のリーダーになってくれないだろうか。ソフィアの王家が滅んだ今、僕達には頼る者がない。だからソフィア王国の英雄だったマイセン殿に、我らの王になって欲しいとお願いしたのだ。だけど将軍は何故か、立ち上がろうとはなさらない。だから代わりに君が、解放軍を率いて欲しい。マイセン殿の血を引く者が解放軍のリーダーになれば、我々は思う存分戦うことができるんだ。なっ、アルム。頼むよ。どうか、ソフィアを救ってくれ。」
「でも僕はまだ若いですし、そんな大それたことなんてできません。」
「僕達がサポートしよう。君になるべく負担をかけないようにするから・・・。我々には旗印が必要なんだ。」
ルカさんにもお願いされて、僕はどうしても断ることができなくなってしまった。
continue?