第1部 1章 マルスの旅立ち
ドルーア帝国によって祖国を追われたアリティアの王子マルスは、 老騎士ジェイガン率いるわずかばかりの騎士団に守られて、 ようやく、東方の島国タリスにまで落ち延びた。 タリス王国は、騎士団さえ持たない辺境の小国であったが、 タリス王は彼らに東の砦を与え、できうる限りの援助を惜しまなかった。 そして両親を討たれ、愛する姉まで奪われた悔しさに身を震わせるマルスに、優しく告げた。 「マルス王子よ・・・。姉姫を思う気持ちは、よく分かる。 だがそなたはまだ14才。帝国と戦うには、あまりに幼すぎる。 今は我慢されよ。この地にとどまり力を蓄え、そして時を待つのだ・・」と。 タリスの人々の優しさに守られて、マルスはこの国で二年の日々を過ごした。 そして間もなく16才になろうとするある日のこと・・・。 |