ミストの洞窟

町を出て2人は早速モンスターに出会ったが、特に苦労することもなく蹴散らして進んで行った。

目的地のミストの村へ向かうには、洞窟を通って行かなければならなかった。

洞窟へ足を踏み入れると、辺り一面、霧で覆われていた。

「これでは視界がほとんどないな。」

「気を付けて行こう、カイン。」

「しかしここだけ霧に覆われているというのもおかしな話だ。恐らくここには幻獣が住んでいると考えた方が良さそうだな。」

「ああ。」

霧の中での戦闘は大変だったが、2人はモンスターを襲い掛かるモンスターを倒しつつ、洞窟内を進んで行った。

しばらく進んだところで、何者かの声が聞こえてきた。

「引き返しなさい・・・・。」

「何者だ!」

セシルは辺りを見回したが、この霧の中では何の手がかりも見つけることはできなかった。

仕方なく、先程の声は気のせいだと思い直して先に進んで行く。

「ここは宝箱の宝庫だな。」

カインの言う通り、この洞窟には宝箱が点在していた。

特に回復手段を持たない2人にとっては、ポーションが入手できたことは非常に幸運であった。

更に奥へと進んで行くと、また声が聞こえてきた。

「すぐに立ち去るのです・・・・。」

「この声の主が幻獣なのか?」

カインが首をかしげた。

「恐らくそうだろう。でも僕達には先へ進むしか道はない。」

2人がようやく出口へと辿り着いた時である。

「バロンの者ですね・・・・。」

今度はすぐ側から声が聞こえた。

「誰だ!」

カインが身構える。

「ここで引き返せば危害は加えません。即刻、引き返すのです。」

「姿を見せないか!」

カインがイライラして叫んだ。

「引き返す気はないのですね・・・?」

「はい。このボムの指輪をミストの村まで届けなくてはならないのです!」

「ならば・・・仕方ありません!」

すると次第に辺りの霧が集まり始めた。

「霧が集まる・・・・!」

やがて集まった霧はドラゴンの姿になった。

「ミストドラゴン?」

「厄介な敵だな。」

ドラゴンは再び霧へと姿を変えてしまった。

「くそっ。」

カインが攻撃を仕掛けたが、まるで手ごたえがなかった。

「うわーっ。」

突如、冷たい霧が2人に襲いかかってきた。

「霧は全ての攻撃を無効にするはずだ。ドラゴンが霧に姿を変えている間は攻撃するな、カイン。」

「分かった。実体を現すのを待てということだな。」

2人は霧が再びドラゴンの姿になるのをじっと待った。

やがて霧が徐々に集まり始めた。

「元に戻るぞ!今が攻撃のチャンスだ!」

「行くぞっ!」

2人で攻撃を仕掛ける。

「やったか?」

「ああ。」

2人は荒い息を整えると、洞窟の外へと出て行った。

- 完 -

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