ゼイレキレの滝


ラムザ達がゼイレキレの滝へ辿り着いた頃、吊り橋の上で立ち往生している2人の人物があった。
ディリータとオヴェリアである。
北天騎士団の騎士が向こう騎士に待ち構えており、正に絶体絶命のピンチを迎えようとしていた。
北天騎士団騎士 「もう、後がないぞ、観念するんだな!おとなしく王女を引き渡すんだ。そうすれば、お前の命だけは助けてやろう!」
騎士ディリータ 「白々しいウソを!お前達の目的は王女の生命だろ?王女を殺害した時、その真相を知るオレを、このまま生かして帰したりはしないはず!」
北天騎士団騎士 「何をバカなことを!我々は王女を助けに来たのだ!何故、王女の生命を狙わねばならん?貴様達ゴルターナ軍に王女を渡すわけにはいかんのだよ!」
その時、オヴェリアの姿を見つけたアグリアスが叫んだ。
騎士アグリアス 「オヴェリア様ーッ!!」
王女オヴェリア 「アグリアス!!」
北天騎士団騎士 「チッ!余計な連中がやって来たか!ガフガリオン!そいつらを殺せッ!!一気にカタをつけるぞッ!!」
剣士ガフガリオン 「どういうことか、よく分からンが、これも契約だ。仕方ないな!」
騎士アグリアス 「ガフガリオン、貴様、裏切る気かッ!!」
剣士ガフガリオン 「裏切る?とンでもない。こいつらはホンモノさ。オレ達の仕事は、お姫様が”無事に”誘拐されるようにすることだ。そして、こいつらの任務は誘拐したヤツらを口封じのために、ここで始末することなのさ!」
騎士アグリアス 「どういうことだ??誘拐が狂言だとでもいうのか??」
剣士ガフガリオン 「邪魔なンだよ、そのお姫様はな!正統の後継者はオリナス王子だけでいいんだ。お姫様が生きていると担ぎ出すヤツが現れるからな!」
騎士ディリータ 「どうせ殺すことになるのなら役に立ってもらおう・・・。ゴルターナ軍に誘拐されたことにしてそのまま殺してしまえば、邪魔なライバルを失脚させることができ、邪魔なお姫様も処分できる・・・。ラーグ公が書いたシナリオはそんなところだろう。・・・いや、そのシナリオを書いたのはきっと、ダイスダーグだな。ラムザ、お前もそう思うだろ?」
剣士ガフガリオン 「そういうわけだ、ラムザ。こいつらを皆殺しにするぞ!」
剣士ラムザ 「また、力の弱い者を犠牲にしようというのか・・・・・・。・・・そんなことを許しはしない!これ以上、ティータのような犠牲者を出してはいけないんだッ!!」
騎士アグリアス 「オヴェリア様ッ!今、お助け致しますッ!!」
剣士ガフガリオン 「そうはさせるか!」
騎士アグリアス 「自分が何をしようとしているのか貴様は分かっているのかッ!?オヴェリア様は養女といえども王家の血筋。そのような方を貴様は手にかけようというのだぞッ!」
剣士ガフガリオン 「ああ、分かっているさ!よぉく、分かっているとも!王女といえども邪魔なら排除される!それが頂点に立つ”王家の血筋”ってヤツなンだろ?」
騎士アグリアス 「貴様ッ、オヴェリア様を愚弄するか!」
剣士ガフガリオン 「邪魔なら殺される・・・、オレ達平民と変わらんってことさ!違うのは、お前のような頭の固いヤツらが何も考えずに忠誠を誓うってことぐらいか!!生きていたって、頂点に立たない限り利用されるだけなンだ。だったら今、殺された方がマシだぜッ!」
騎士アグリアス 「ならば、私が護ってみせる!!」
剣士ラムザ 「ディリータ!生きていたのか、ディリータ!」
騎士ディリータ 「こんなところで再会するとはな!相変わらず兄キ達の言いなりか?」
剣士ラムザ 「馬鹿な!僕は何も知らない!こんな計画なんて知りもしない!それより、ディリータ、君こそ兄さん達の計画に荷担しているのか!?」
騎士ディリータ 「冗談を言うな!オレはお姫様を助けに来たのさ!お姫様を利用しようという奴らの手から、お姫様を自由にするためにな!!」
剣士ガフガリオン 「ウソを言うンじゃねぇ!お前も雇われたンだろ?金のために王女誘拐という仕事を請け負ったンだろ!今更シラを切るンじゃねぇッ!!」
騎士ディリータ 「貴様と一緒にするな!金のためにやっているわけではない!」
剣士ガフガリオン 「じゃ、誰だ?オレの仕事を邪魔するヤツは?計画をかぎつけたガキが、正義感に駆られて王女を救出に来たとでもいうのかッ!?お前は誰に雇われている?誰からこの計画を聞いた?言えッ!」
騎士ディリータ 「それは貴様の知るところではない!」
王女オヴェリア 「貴方は何者あの?味方、それとも敵?」
騎士ディリータ 「あなたと同じ人間さ!」
するとそれまで黙っていたラムザが、ガフガリオンに詰め寄った。
剣士ラムザ 「あなたはこの計画を知っていたのか!何故、こんな汚い仕事をッ!!」
剣士ガフガリオン 「汚いだと!?金を稼ぐのに奇麗もクソもあるか!オレはプロの傭兵なンだぞ!請け負った仕事はどんな内容でもやり遂げる、それがプロってもンだ!」
剣士ラムザ 「何故、僕に話してくれなかった!どうしてッ!!」
剣士ガフガリオン 「話したらどうした?オレを止めたか?オレ達がやらなくても、誰かがこの仕事を請け負うンだ!分かるか!お前の知らない所で誰かが死ぬンだ!それが現実だ!お前は、お前の知らない所で起きていることを止められるとでもいうのか!?」
剣士ラムザ 「しかし・・・、しかし、こんなこと、許されるっていうのか!」
剣士ガフガリオン 「”しかし”って言うンじゃねぇ!お前は”現実”から目を背け、逃げているだけの子供なンだよ!それがイヤなら自分の足で誰にも頼らずに歩けッ!独りで生きてみせろッ!!それができないうちはオレにでかい口を聞くンじゃねぇッ!」
そう言うとガフガリオンは、有無を言わせずに攻撃を仕掛けてきた。
剣士ラムザ 「くっ・・・。」
騎士アグリアス 「命脈は無常にて惜しむるべからず・・・葬る!不動無明剣!」
アグリアスは、不動無明剣でガフガリオンの足止めをした。
ラヴィアン 「今のうちよ!」
剣士ガフガリオン 「くそッ!こちらが不利か・・・。」
深い傷を負ったガフガリオンはテレポで姿を消した。
騎士ディリータ 「逃げられたか・・・。」
剣士ラムザ 「ディリータ・・・。」
ラムザが何かを言いかけた。

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