- 父親 -
3人で町を歩いていると、1人の酔っ払いの前を通りかかった。 |
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「うぃ〜・・・っク。」 | |
「やだ、昼間から酔っ払い?」 | |
するとその男はミュートを見て、親しそうに声を掛けてきた。 | |
「お、ミュートじゃないかぁ〜?父さんだぁ。シド・ランデル様だぞ〜〜。」 | |
ミュートは仕方なさそうに、父親の元へと近付いて行った。 | |
「ミュートぉ、ど〜〜した、こんな時間に〜。学校は〜。おーおー、ミュートぉ。お前も父さんと、飲むかぁ?」 | |
「・・・ボクはいいよ。それよりパパ、ちゃんと歩いてないよ。家まで1人で帰れる?」 | |
「酒はうまいぞ〜。やなこと、み〜んな忘れっちまうぞぉ〜〜。」 | |
「なら、明日はちゃんとしてくれるんだね?」 | |
「おうよ。おうともさ。だから、あと少し、もう一杯〜。」 | |
そう言いながらシドは、よたよたとどこかへ歩いて行ってしまった。 | |
「・・・ママが死んじゃってからずっとああなんだ。・・・かっこ悪いよね。」 | |
「ミュートの家ってさ、パパとママ、仲が良かったんだね。」 | |
そう言ってマーシュは一度家へ帰りかけたが、ミュートとリッツの方を振り返った。 | |
「じゃあ、2人共待ってるから。」 | |
そう言い残して、マーシュは帰って行った。 | |
「ミュートって、マーシュのことどれくらい知ってるの?」 | |
「え?」 | |
「ミュートのパパにはちょっとビックリしたけど、マーシュのところ、パパがいないって聞いたから。」 | |
「・・・・・・。」 | |
ミュートはリッツの言葉を聞いて黙り込んでしまった。 | |
やがて2人はそれぞれの帰途へと向かった。 |