家路

謁見の間の入口で番をしている兵士の一人はまだ新米なのだろうか?

「陛下との”謁見”は終わりました。お引取りねげぇ・・・いや、その願えますか? ふーーー。何とか言えたな。」

もう一人の方は型通りというか、慣れたものである。

「皇帝陛下との”謁見”の儀式は終わりました。お引取り願います。」

途中で侍女が話しかけてきた。

「これはシバ様。謁見にはウィンディ様も、いらっしゃったんでしょう?ウィンディ様は、クラウディア様に似ていらっしゃると聞いてるけど・・皇帝陛下はまだ亡くなった奥様のことを・・・。」

シバには皇帝陛下の気持ちなどよくは分からないが、恐らく侍女の言う通りなのだろう。

マクドール親子は帝国五将軍の一人、カシム・バジルの元へと顔を出した。

「おお、テオか。どうやらいい息子を持ったようだな。羨ましいぞ。」

「冷やかすなよ、カシム。」

「では、またな。」

「ああ。」

家路へとつく前に、テオはとある一室の前で立ち止まった。

「クレイズの部屋はここだ。明日からは、お前の上官になる。挨拶をして来るんだ。」

「はい。」

シバは早速挨拶をするべく、部屋へと足を踏み入れた。

「失礼致します。」

「ふん。お前がテオの息子か?名前は?」

「シバと申します。」

「シバ・・・か。ふん。大将軍の息子だろうが、ここでは特別扱いしないからな。分かったか。」

「はい。」

「分かったらさっさと帰るんだな。仕事は明日からだ。明日の朝一番に、ここに来るんだぞ。」

「はい、承知致しました。」

そう言ってシバは退室した。

部屋の外では父親が心配そうに待ち構えていた。

「挨拶は済んだか?しかし、あんな小心者がお前の上官とは・・・・・。さて、そろそろ帰るぞ。グレミオが心配しているからな。」

きっと今頃、じっとしていられずにあちこちをウロウロと歩き回っているのだろうな、と考えつつ、テオは息子と家路についたのであった。

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