晩餐
「なるほどねぇ。俺もウィンディ様の顔を見てみたいなぁ。なあ、シバ・・・いや、はははは・・・何て言うのかなぁ・・。」
少しとまどったように何かを言いかけるテッド。 その頃、テオも戻って来て食堂へと向かっていた。 テッドはようやく決心したように話し始めた。 「なぁ、シバ、俺お前に話しておきたいことがあるんだ。シバ、お前は秘密を守れるよな?なぁ、そうだよな。」 その時、グレミオの呼ぶ声が聞こえてきた。 「坊っちゃーーん。テッドくーーーん。夕食の準備ができましたよーーーー。」 「ん?お!メシのようだな。行こうぜシバ。話はいつでもできるからな。」 シバとテッドは食堂へと向かった。 テッドが早速席に着く。 「さすがにグレミオさんの料理だな。これだから、シバの家に遊びに来るのはやめられないんだ。」 なかなか席に着こうとしないシバを見かねて、グレミオが声を掛けた。 「坊っちゃん。早く席に座って下さい。夕食が冷めてしまいます。」 「おお、今日は豪勢だな。こりゃ腹が鳴るぜ。」 パーンが嬉しそうに言う。 「坊ちゃん。しばらくテオ様と一緒に夕食をとることはできなくなるんです。よく味わっておいた方がいいですよ。」 クレオが優しく声を掛ける。 「どうした。早く席に座りなさい。」 父親に声を掛けられ、ようやくシバは席に着いた。 「グラスは満たされたようだな。みんな、聞いてくれるか。明日の朝には私は北方へ向けて旅立たなければならない。私がいない間は、シバがこの家を預かることになる。みんなはシバを助けてやって欲しい。」 「グレミオ。」 「は、はい。」 「お前にはシバが幼い頃から付き人をしてもらっている。母のいないシバがここまで、立派に育ったのもお前のお陰だ。感謝するぞ。」 「いえ、私は・・・。これが私の仕事ですし・・、それに坊っちゃんのお世話ができるのは、私にとっても喜びですから・・。」 「うむ。これからも頼むぞ。クレオ、パーン、お前達もシバを守り、力になってやってくれ。」 「はい。テオ様。」 「勿論ですとも。坊っちゃんのことは任せといて下さい。」 2人とも力強く答える。 「テッド君。シバといつまでも良き友であってくれ。」 「シバがイヤだって言ってもそうするつもりですよ。なあ、シバ。」 「これぐらいにせんと料理が冷めてしまうな。みんな、グラスを持ってくれ。」 全員グラスを手に取る。 「我が息子シバと、帝国に祝福あれ。」 こうして晩餐が始まった。 |