グレッグミンスターにて

シバがマクドール邸前を歩いている時であった。

1人の見知らぬ男性に突然怒鳴りつけられた。

「こらっ、お前こんなところで何をしている。ここは帝国大将軍、テオ・マクドール様のお屋敷なのだぞ。」

「な、な、何てことを!テオ様のご子息に向かって!!!」

「グレミオ、別にいいってば。」

「えっ、あなたがテオ様の息子?こ!これはとんだ失礼を。」

「全く!!!坊っちゃんのことを知らないなんて、失礼な!」

「まあまあ、落ち着けよグレミオ。血圧が上がるぜ。」

「!!!パーンまで私をからかうなんて!!!」

「はっはっは。」

「ふう。この2人にも困ったものだね。」

そっとため息をつくクレオであった。

「ちょっとその辺の人の話を聞いてみようよ。」

「面白い話が聞けるといいな、シバ。」

「そうだね、テッド。」

「何?オレの話を聞きたい?そうだなー。封印球ってのがあるらしいぜ。そいつを、ここの紋章師に頼めば宿してもらえるんだ。そしたら、魔法とか使い放題だ。」

「ふうん。便利な物があるんだね。どうもありがとう。」

「どういたしまして。」

「ここが紋章師の所か。覗いてみるかい?シバ。」

「そうだね。」

「ご用は何ですか?」

「こんにちは。こちらで封印球を宿してもらえるんですよね?」

「はい。封印球をお持ちですか?」

「残念ながら持っていないんです。」

「そうですか。では封印球を手に入れたらまたお越し下さい。」

「はい。その時は宜しくお願いします。」

「ありがとうございました。」

「坊っちゃん、防具屋も覗いて行きませんか?」

「いいよ、パーン。」

シバ達は防具屋へと入って行った。

「いらっしゃいませ。ご用は何ですか?」

「ちょっと覗かせてもらうぜ。」

「はい、どうぞごゆっくり。」

「おっ、これなんて俺向きだな。今度またゆっくり買いに来るとするか。」

「ありがとうございました。」

続いて道具屋の方へ向かおうとする一行に声を掛けた者があった。

「ここで、買い物するのかい?やめときな、まがい物を掴まされるぜ。」

「うるさいよ!商売のジャマするなら、出て行きな!」

「おっとっと、恐い、恐い。じゃあな!」

「・・・ったく、ああいう輩がいるから・・・。ブツブツ・・・。あっ、と、グレミオさんじゃないですか。グレミオさん、昨日の宴はうまく行きましたか?お代のほうはいつものように月末に取りに行きますよ。」

「はい、お陰様で滞りなく済みました。いつもすみません。」

「それは良かったですね。これからもごひいきに。」

シバ達は店を出た。

「あれ?女の人がキョロキョロしているけど、どうしたんだろう?行ってみよう。」

「あっ、坊っちゃん、待って下さいよー。」

「あの・・・、どうかしたんですか?」

「私、東のロックランドという村から来たものなんですけど。道に迷いまして・・・。すいませんがミルイヒ様のお宅を教えてもらえますか?」

「ああ、それならあの奥の大きな家ですよ。」

「えっ!あ、あれですか。あの、悪趣味な・・・いえっ・・ユニークなお宅がそうですか・・。あ、ありがとうございます・・・。」

「あの人、一体何の用なんだろう?かわいそうに・・・。」

テッドが心底同情するように言う。

「くっくっく・・・。」

「パーン!!!」

「だってよぉ、クレオ。・・・・・・。・・ぷっ。はははははっ!!!」

シバ達はベンチに座っている老人の元へと向かった。

「美しいのぉ。7年前の継承戦争で、荒れ果ててしまったこのグレッグミンスターも、今はこんなに美しい町になった。これも皇帝陛下のお陰じゃ。ありがたい。ありがたい。」

「何だろう?あの男の人、随分と騒いでいるみたいだけど・・・。」

「まあ見てみろよ、この”壺”をさぁ。へっへっへっへ、”もさもさ”が落として行った壺だから期待してなかったんだけど、”鑑定”してもらったら、何とびっくり、”聖者の壺”だったってわけさ。ラッキー、ラッキー。」

「へえ、そんなことがあるんだ。羨ましいよな、シバ。」

「そうだね。」

「ねえ、シバ。あの人は騎士みたいだよ。かっこいいなあ。話を聞いてみようよ。」

「うん。」

「レナンカンプにゃあ、腕のいい鍛冶職人がいるって話だ。友達が、剣を鍛えてもらたって俺に自慢ばかりするから、俺も一丁この剣を鍛えてもらいに行くかなぁ。」

シバ達は近くの民家を訪れた。

鍋からは、熱いシチューがいい匂いをさせている。

家の中にいた女性は暗い顔でこう語った。

「7年前のあの頃は良かった。あの頃の陛下は素晴らしい方だった。でも今は・・・。」

宿屋へ向かったシバ達は酒場を訪れた。

「おぉ、いいところに来た。お前さんに決めてもらおう。何を決めるかって?そいつは、帝国六将軍、いや、今は五将軍だな。その中で、誰が一番強いかさ。」

「水軍頭領、ソニア・シューレン様。剣の使い手にして、魔法をも操る。その上、あの美しさ。ソニア・シューレン様が一番だよな。君もそう思だろ。」

「帝国五将軍、その中でも一番の剣の使い手。カシム・ハジル将軍。一番の剣士が一番の将軍。当然じゃあないか。」

「誰が一番の将軍かって?そいつはもちろん、幾度となくバルバロッサ様を守った鉄壁のクワンダ・ロスマン将軍だ。クワンダ様は、素晴らしい軍人だ。私の目指す人だよ。」

「えっ、いやぁーー。僕は花将軍ミルイヒ様も結構強いと思うけどなぁ。剣の腕も、魔法も一流だし、それに、いつも素敵なお召し物で・・。」

「一番はテオ様です!!」

「グ、グレミオー。」

「い、行きましょう。坊っちゃん。」

「全くグレミオったら大人げない・・・。」

「すみません。つい・・・。」

「グレミオさんって時々ハチャメチャだよねえ。」

「テッド君までそんなことを〜。」

「はははははっ。」

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