謎の少年

ブラックは魔術師の島へと到着した。

波の打ち寄せる音が聴こえる。

時折、鳥の囀る声も聴こえてくる。

「ほう、着いたぜ。あんまり速くて目を回しちまったかい?さあ、俺の役目はここまでだ。あんあたらの仕事が終わるまで、ここで待ってるよ。そいじゃ、気をつけて行って来な。」

フッチに見送られ、シバ達はレックナートの元へと向かった。

「あれ?おかしいなあ。またさっきの所に戻って来ちゃったみたいだ。」

シバが首をかしげる。

「変ですね、坊っちゃん。」

戻ってきたシバに向かって、フッチが声を掛けてきた。

「へえーー。もう用事は済んだのか?グレッグミンスター城に戻るかい?」

「いや、実はまだなんだ。」

「なーんだ、もう帰れると思ったのに。早く用事を済ませてきてくれよ。そうしないと、俺達だけで帰っちゃうぞ。なあ、ブラック。」

「うおーん!」

「すまないが、もう少し待っていてくれないか。」

「うーん、分かったよ。」

クレオに頼まれたフッチはしぶしぶ頷いた。

シバ達は再びレックナートの元へと進み始めた。

途中で何度かモンスターに出くわしたものの、難なく倒すと更に進んで行く。

すると、目の前に突然見知らぬ少年が現れた。

「こんな島にお客とは珍しいな。これは早速おもてなしをしないとね。我が真なる風の紋章よ・・・・。」

少年が言葉を発すると辺りが光り輝き、クレイドールが姿を現した。

「何だあれ?でっかいぞ!粘土でできているのか?」

パーンが叫ぶ。

「坊っちゃん、下がって下さい!行きますよ、パーン!」

「おう!」

グレミオとパーンの2人は、息の合ったお守り攻撃でシバを守りつつ戦いを挑む。

「はあ、はあ・・・。」

何とかクレイドールを倒したシバ達に向かって、少年が多少感心したように言った。

「へええ、すごいね君達。僕の術を破るなんて、さすがは帝国近衛隊というところかな。」

するとパーンが前へと足を踏み出した。

「ふざけんな!俺達にウラミでもあるのかよ。」

「まあまあ、そんなに興奮しないで下さいよ。ねえ、お兄さん達。聞いていますよ。君達はレックナート様に会いに来たんでしょう?本物かどうか、試してみたんです。どうやら、本物みたいですね。こちらへどうぞ、お客様方。」

「お、おい・・・。」

「行こうよ、パーン。」

シバに促され、パーン達は少年の後について行った。

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