火の封印球

シバが戻って来ると、テッドが待ちくたびれたように言った。

「おっ、やっと出てきたな。随分長かったじゃないか。中で何してたんだ?オイ?」

しかしその言葉を遮るようにパーンが口を挟んだ。

「早くしないと、フッチの奴が待ちくたびれて帰っちまうぜ。用が済んだなら、とっとと戻ろうぜ。」

「全く、あんたときたらレックナート様に失礼だぞ。それとも、腹でも減ったのか?」

「うるせー。」

クレオに悪態をつかれたパーンが反撃する。

そんな彼等の元へ、レックナートが再び姿を現した。

「ふふふ、こんな何もない所では退屈でしょう。岸までルックに送らせます。ルック。」

レックナートが声を掛けると、光と共に先程の少年が現れた。

「ここにいます、レックナート様。」

「シバ達を岸辺まで送ってきなさい。くれぐれもイタズラはしないように。」

「勿論ですよ。この僕がそんなことすると思っているんですか?ひどいなぁ。」

ルックは大げさに言ってみせた。

「レックナート様、では、これで失礼させてもらいます。」

クレオが挨拶をすると、レックナートは彼女の元へとやって来て言った。

「あなた・・・・・。」

「はい?」

「あなたは、シバを守るのが役目。これをお持ちになって下さい。必ずや役に立つはずです。」

「これは?」

「火の封印球です。火の魔法を使うことができます。」

「ありがとうございます。」

続いてレックナートはシバに向かって言った。

「シバ。私の話したこと、忘れないで下さい。」

「はい・・・。レックナート様・・・。」

「それじゃあ行きますよ。皆さん、目をつぶって下さい。」

シバ達が目を閉じると、ルックは呪文を唱え始めた。

「我が真なる風の紋章よ、その力を示せ。」

辺りがまばゆいばかりに白く輝いた。

<---Back◆◇◆Next--->

幻想水滸伝へ