異変

テントに入ると、彼らユニコーン少年兵部隊の隊長であるラウドがものすごい剣幕で近付いて来た。

「お前ら!!軍服はどうした!!!」

「す、すいません・・・・・。」

ジョウイが謝ると、ラウドは表情を緩めて言った。

「まぁ、今日のところは許してやる。テントに戻って、さっさと寝ろよ。」

「は、はい。」

ジョウイは慌ててテントを出ようとしたが、ユーリはすぐに出ようとはしなかった。

「あの、僕がいけないんです。僕が外へ出ようとジョウイを一緒に連れ出したんです。本当にすみませんでした。」

「もう分かったから・・・。早く寝ろと言っただろ。ほら、行った!行った!」

そう言ってラウドは2人の背中をテントの外へと押し出した。

「ジョウイ、ごめん。もうテントへ戻ろう。」

「いいんだよ。僕が勝手に付いて行くって言ったんだから。それよりちょっと、山道の方へ行ってみないか?星空が綺麗に見える所があるんだ。」

「でも・・・。」

「大丈夫だよ。そんなに長居するわけじゃないし。」

「・・・うん。」

見張りの少年兵達にもそろそろ眠気が襲ってきたようである。

「ふぁぁぁ・・・・・。そろそろ眠くなってきたなぁ・・・・・・・・・。」

「おいおい、うかれるのもほどほどにしとけよ。」

まだ辺りを歩き回っているユーリとジョウイに向かって、1人の少年兵が言った。

「こら!ユーリ、ジョウイ!!早く寝ないと隊長に怒られるぞ。」

「分かったって。」

そう言ってジョウイはユーリの腕を引っ張ると山道の方へと走り出した。

「おい!そっちじゃないだろ!」

後から叫ぶ声が聴こえたが、2人は無視して走り去った。

「はぁ、はぁ・・・。ここまで来ればもう大丈夫。」

ほっと一息ついて、ジョウイはユーリに笑い掛けた。

「ほら、見てごらん。ここはこんなに星が綺麗に見えるんだよ。」

ジョウイに言われて空を見上げると、満天の星々が天から降り注いでくるようであった。

「本当だ。こうして星空を見上げていると、僕達って何て小さいんだろうね。」

そんな人の姿を見つけた見張りの少年が話し掛けてきた。

「あっ、ジョウイ。ユーリ。」

「もう少ししたら、見張り番も終わりなんだ。確かに、こんな山奥で見張りなんてしても意味ないものね。」

「そうだね。あと少しだけ、頑張ってね。」

一緒に見張りをしていた少年が、口ごもりながら小声でユーリに囁いた。

「なぁ、ユーリ。キャロに帰ったら、俺、お前の姉さんに・・・。」

「え?」

「あ、いや、その、何でもないんだ。」

何故か少年は顔を赤くして俯いてしまった。

臆病な少年が1人、ブツブツと呟きながら震えている。

「な・・・何か出そうだ・・・・。さっきも、何か動いた気がするし・・・・。嫌だなぁ・・・・・。」

少年の視線を追ってユーリが目を向けた場所に、何者かの人影が見えた。

「あ!!」

その人物は慌てて逃げ出した。

「あ、待って!」

ユーリが後を追おうとすると、ジョウイが彼を引き止めた。

「ユーリ、あんまり遠くに行くとまたラウド隊長に怒られるよ。明日の朝にはキャロの街に戻れるんだから、焦らなくても大丈夫さ。」

ジョウイは先程の人影には気付いていないようであった。

今から追いかけても恐らくどこにいるか分からないであろう。

仕方なくユーリはテントに戻ることにした。

「さあて、そろそろ寝るとしようか。」

「うん。」

「明日は朝一番でキャロに戻りたいからね。お休み、ユーリ。」

2人はベッドに潜り込むと、すやすやと寝息をたて始めた。

ところがほどなく、突然の激しい物音によってユーリは目を覚ました。

「敵襲だ!!!」

外で叫ぶ少年の声が聴こえる。

寝ていた少年達は次々と目を覚まし、テントの外へ走り出て行った。

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