暴兵
朝歌 中央広場 若い女が叫んでいる。 「や、やめて下さい!」 側にいた子供が母親に近付こうとする。 「お母ちゃーん!」 夫らしき男も近付こうとする。 女がくず折れる。 彼らの周りでは数人の朝歌兵が取り囲んでいた。 「陛下は、お前のような美女を求めてらっしゃる。」 「平凡に暮らすより朝歌城で贅沢した方が、お前だって楽しいだろう。」 「夫と子供が心配なら・・・・・・。」 「こうしてくれよう!」 2人の朝歌兵が剣を抜く。 子供と夫はいち早く逃げ出し、女も後を追うように逃げ出した。 しかし、力尽きたように地面に座り込んでしまった。 その様子を見かねた太公望は、思わず声を発していた。 「待て、お前達!」 親子連れと朝歌兵との間に割って入る太公望・・・。 「何だ、貴様?邪魔だてする気か!」 太公望は親子を振り返ると叫んだ。 「早く逃げて!」 男が立ち上がる。 「あ、有り難うございます!」 女と子供も立ち上がり、3人共急いでその場を立ち去って行く。 朝歌兵の一人が太公望の服装を見て、驚いたように言った。 「ややっ?その格好は・・・・・・道士だな?」 別の朝歌兵が尋ねる。 「ってことは、こいつが?」 「うむ、間違いない。よし、捕まえろ!胡喜媚様の元に連行するんだ!」 3人の朝歌兵は蛇人へと姿を変えた。 「な、何だ!?」 (人間ではなかったのか・・・。) 「はあっ!」 太公望は打神鞭で蛇人に攻撃を仕掛けた。 敵も負けずに砕岩襲で反撃してきたが、太公望は逆に攻撃を返し、1体の蛇人を倒した。 そして、別の蛇人に砕岩襲を仕掛ける。 残る2体は衝破槍と闘気斬で攻撃してきた。 太公望は1体を砕岩襲で倒すと、残る1体に打神鞭で攻撃した。 打神鞭の秘めたる効果により、敵は視界を奪われたようである。 再び砕岩襲を仕掛ける太公望。 蛇人が斬りかかってきたが、太公望は軽くかわすと、春眠光で蛇人を眠らせた。 辺りを見回すと乾坤護符、安命護符を発見した。 先程から危ない雲行きだったが、とうとう雨が降り始めた。 更に回復丹を発見すると、太公望は砕岩襲で蛇人にとどめをさした。 太公望は蛇人の持っていた回復丹を2つに復帰丹、常能丹、そして仙桃4個を戦利品として手に入れることができた。 「はぁ、はぁ。しかしこいつら・・・・・・一体何者なんだ?」 荒い息を整えていると、背後から声が聞こえた。 「お見事です。私の部下を倒すとは。」 その声に振り返る太公望。 「お前は・・・・・・誰だ!」 「親衛隊長の胡喜媚と申します。お待ちしておりました。」 「崑崙のネズミが朝歌に向かったという情報がありましてね。」 「さて、それではおとなしくしてもらいましょう。」 「城内で宝貝など振り回されてはたまりませんからね。」 そう言うと胡喜媚は何やら術を使った。 「おとなしくしてもらいましょう。」 太公望はその場でしゃがみこんでしまった。 「うっ、な、何を・・・・・・した・・・・・・。」 そして、そのまま倒れてしまう。 「この者を城内へ。くれぐれも、丁重に。」 胡喜媚の命を受けた兵達は、太公望の元へと向かった。 |
◆封神演義◆