虐殺

黄飛虎邸 中庭

黄飛虎邸の中庭へと辿り着いた太公望達であったが・・・。

目の前では無残な光景が繰り広げられていた。

「うああっ!」

老若男女関わらず、朝歌兵によって次々と人々が斬られ、倒れていくのである。

「きっ、貴様らぁ!!何をするかぁ!!」

たまらず声を発した黄飛虎に向かって、胡喜媚は平然と言い放った。

「反逆者のみならず・・脱獄、親衛隊員を殺害・・・・・・。」

「一族誅殺は当然、との陛下のお言葉でしたよ、黄飛虎殿。」

「陛下が・・・・・・。嘘だ!」

「信じたくなければ信じなくても結構。」

「何にせよ、あなたはここで一族の後を追って死ぬ運命・・・・・・。」

朝歌兵がからかうように女官に声を掛ける。

「おいおい、姉ちゃんも戦うつもりかい?」

女官は全く動じた様子もなく、落ち着き払って答える。

「あなたよりは、はるかに修羅場をくぐり抜けてきているつもりですけどね。」

「何だと、こらぁ!」

朝歌兵は剣を抜いて女官に斬りかかったが、女官は咄嗟に槍で受け止めると、逆に朝歌兵を突き刺した。

「て、てめえ・・・・・・何・・・・・・者だ・・・・・・。ぐふっ。」

朝歌兵は信じられないといった様子で力尽き、倒れる。

「そうですね、この格好では戦うにはちょっと不向きですね。それでは・・・・・・。」

見る見るうちに、女官の姿が男性の姿へと変わっていく。

「崑崙道士・楊せん!師匠の命により、助太刀致す!」

「変化の術ですか。少しはできるようですね・・・・・・。」

「お前達も、元の姿に戻って奴らを倒しなさい!」

胡喜媚の命によって、朝歌兵は次々と化け物の姿に変わっていく。

太公望が蛇人に春眠光の術をかける。

「今です。蛇人が眠っているうちに・・・。」

せんは蛇人に哮天犬を仕掛ける。

「行けいっ!」

「やるわね。少しおとなしくしてもらいましょう。」

「なっ・・・。」

胡喜媚の魔輝によって黄飛虎は攻撃不能に陥ってしまった。

蛇人が楊せんに衝破槍を仕掛ける。

「これで大丈夫。」

太公望は黄飛虎に復帰の術をかけ、回復させる。

「すまん。」

「気を抜くな。」

胡喜媚も蛇人を回復する。

「せやっ。」

黄飛虎が蛇人に地憤槍を仕掛ける。

「はっ。」

せんが蛇人を槍で突く。

「はっ。」

胡喜媚が太公望に攻撃を仕掛ける。

戦いは長きにわたった。

「ふっ・・・・・・。思ったよりやりますね。」

「今日のところは勝ちを譲って差し上げます。」

「しかし、この次は同じようにはいきませんよ!」

自軍が不利になったとみてとるや、胡喜媚はこういい残して姿を消した。

「逃げられたか・・・・・・。」

太公望が悔しそうに言う。

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