黄河の渡し場

「黄河さえ渡ってしまえばまずは一安心だ。渡し場に行こう。」

そう、黄飛虎が提案した時である。

「ん?まだ、安心するには早いようですね。」

せんが示す方に目をやると、そこには1人の少女と化け物達の姿があった。

「黄飛虎!何処に行くのさ!」

「あんたの家族はこの朝歌で死んでいったのに、自分だけ逃げようってのかい?」

「何だと・・・・・・もう一度言ってみろ!」

黄飛虎が声を荒げる。

太公望はその少女の姿に見覚えがあった。

「お前は確か、朝歌城の謁見の間にいた・・・・・・。」

太公望の言葉に、少女は得意気に名乗りを上げた。

「親衛隊副長。王貴人さ!胡喜媚みたいにゃいかないよ。覚悟しな!」

「負けるもんか!」

黄天祥が王貴人に向き直る。

「まっ、むきになっちゃってかわいいじゃないか。」

「でもね・・・・・・死んでもらうよ!」

「やらせるか!」

「行けっ!」

せんが哮天犬を仕掛けた。

蛇人が楊せんを槍で突いてくる。

「やあっ!」

黄天祥が大百足に遠撃を仕掛ける。

「ふふふふふっ。」

王貴人が隷輝を仕掛けてきた。

「そのようなものは、効かないな。」

「ふっ。」

せんは何事もなかったかのように、三尖刀で大百足に攻撃を仕掛けた。

「慎重にいきます。」

せんは続いて太公望に硬身功の術をかけた。

「行くよっ!」

王貴人が楊せんに攻撃を仕掛ける。

「頑張って。」

黄天祥が太公望に復帰の術をかける。

「はっ。」

せんが牛鬼に攻撃を仕掛けた。

「せやっ!」

黄飛虎が牛鬼に闘気打を仕掛ける。

激しい戦いが続いたが、やがて決着の付く時がやってきた。

「ちきしょう!あたいをこんな目に遭わせて、ただで済むと思うなよ!」

「次に会った時がお前らの命日だ!覚えてろ!」

王貴人は自らが不利になるとみるや、光を放ち、消え去った。

「・・・・・・逃げ足の速い奴だ。」

太公望が悔しそうにつぶやいた。

「しかし、これでいくつか戦利品が手に入ったな。これからの戦いの役に立つだろう。」

黄飛虎がなだめるように言った。

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