計画
その頃、妲己、胡喜媚、王貴人がとある人物の元を訪れていた。 「妲己、胡喜媚、王貴人、参上致しました。」 妲己が代表で来訪を告げると、目の前の男性が言葉を発した。 「『計画』は予定通り進んでおるのだろうな、妲己。」 「そ、それが・・・・・・、思わぬ邪魔が入りまして・・・・・・。申し訳ございませぬ。」 「どうやら、崑崙の山猿共が人界の異変に気付いたようです。」 胡喜媚が報告すると、王貴人が後を続けた。 「朝歌に潜入した奴等を始末しようとしたんだけど・・・・・・、あと一歩で逃げられちまってさ。」 「崑崙派が動き出したか・・・・・・。となると、急がねばなるまい。妲己よ!こちらの意図を察知される前に崑崙派道士を倒すのだ!」 「既に我が配下の妖魔、文化と馬元を送り込んでありますわ。」 「そうか・・・・・・。我が『計画』に支障のないようさっさと叩き潰せ!良いな!」 そういい残して、男性は光の柱と共に天へと昇って行った。 するとすかさず王貴人が言った。 「なあ・・・・・・、あたいに行かせてよ!あたいに恥をかかせたことを奴等に後悔させてやる!」 胡喜媚も言葉を続ける。 「それなら私が参ります。王貴人では心もとない。」 「なにさ!黄飛虎の一族をぶち殺した程度でいい気になってんじゃないよ!あんただって、肝心の黄飛虎を始末できなくて、尻尾巻いて逃げたじゃないか!」 「あなたと一緒にされるのは心外ですね・・・・・・。」 2人の言い争いに怒りを覚えた妲己が言葉を荒げる。 「胡喜媚、王貴人!妾は、無駄口を好まぬ。」 途端に2人は争いをやめ、妲己の前に跪いた。 「王貴人・・・・・・、文化と馬元の後詰めとして、坊やに先回りしておくように。」 妲己の命に納得のいかない王貴人は立ち上がって反論した。 「ええっ、後詰めなんて嫌だよ!文化達が先に殺っちまうかもしれないじゃんか!」 「・・・・・・・・・・・・。」 妲己は無言ではあったが、恐ろしい顔で睨んでいる。 「あ、あの、じゃ、行って来ます!」 王貴人が慌てて姿を消すと、胡喜媚が立ち上がった。 「これで大丈夫でしょうか。奴等は侮れません。少々不安が・・・・・・。」 「勿論・・・・・・、あれは足止めに過ぎませんわ。少し時間を稼ぎたかったのです。」 「時間稼ぎ・・・・・・ですか?何をなさるおつもりですか?」 「あなたの任務のために・・・・・・、坊や達を潰せる妖魔を連れて来て欲しいのですわ。」 「そういうことでしたか。でしたら、羅宣と劉環、羽翼仙を連れて参りましょう。」 「なかなかの人選ですわね・・・・・・。坊や達の相手には、手頃ではないかしら。」 「では・・・・・・。」 妲己の命を受けた胡喜媚も、姿を消した。 1人残った妲己は不敵な笑みを浮かべると、嬉しそうに言った。 「坊や・・・・・・。あなたのために妖魔が集まってきますわ・・・・・・。あと少しの命、せいぜい大事になさることね・・・・・・。ほーっほっほっほっほ・・・・・・。」
妖魔の追撃を退けた一行は黄河を渡り、一路、西岐を目指す。 元始天尊から授かった「封神榜」を手に、各地に広がる妖魔達を討伐するために・・・・・・。 次々と向けられる妲己の刺客、渦巻く陰謀、そして姿を垣間見せた黒幕。 黄飛虎親子という力強い仲間を得たものの、一行には更なる苦難が降りかかる。 物語は謎をはらみつつ次章へと向かう・・・・・・。 |
◆封神演義◆