蟠竜嶺
一行は蟠竜嶺にやって来ていた。 「ま、オレに言わせりゃ、あんな敵の十や二十、ちょろいもんだぜ。」 はこのところ得意気にしゃべり続けているので、皆うんざり気味であった。 「うんうん、分かったよ。、ここんところ、ずっとその話ばっかりだよ。」 黄天祥の言葉にがムッとしたように言った。 「何だお前、この様がせっかく、戦闘の参考になるような話を・・・・・・。」 「しっ!あれを見ろ!」 2人が太公望の示す方を見ると、何者かに攻撃されている人間の姿が目に入った。 「ぐはあ、うおおお。きしゃきしゃきしゃ。」 その異形の者は異様な声を発していた。 攻撃されている男性達は皆一様に逃げて行く。 「敵は1人だな。よし、オレがやる!」 は待っていましたとばかりに敵に向かって走り去って行ってしまった。 「あっ、!待て!待つんだ!」 太公望の静止の声も耳に入ってはいないようである。 「おい、化け物!この様が相手だ!」 「ぐるる?ぐおおおお。」 すると目の前の異形の者は見る見るうちに巨人と化した。 途端にの頭上から襲ってくる。 はあっと思う間もなく地面に倒れ伏した。 「うほ、うほ、ぐおお!」 異形の者は嬉しそうに立ち去って行ってしまった。 太公望達が急いで近寄ると、地面は巨大な十字型にえぐられ、その中心にが倒れていた。 「!」 黄天祥の呼びかけにも彼はピクリとも動かなかった。 |
◆封神演義◆