潼関
本陣で太公望は皆へ改めて決意を語った。 「僕は、みんなのために戦い続けるつもりだ。これまでも、これからも・・・・・・。」 「準備は万全だ。いつでも出陣できる。」 太公望の言葉を受けて、黄飛虎が言った。 「僕、もっともっと腕を磨いて早く一人前になりたいです。」 黄天祥も言葉を続けた。 少しの間修行をして戦力アップをした一行は、潼関へとやって来ていた。 「やっと着きましたな・・・・・・。あれが潼関です。わしが先に行って蘇護と話をつけてきます。太公望殿は、ここでしばらく待っていて下さい。」 「分かりました、黄飛虎殿。気を付けて行ってきて下さい。」 黄飛虎が門に近付いて行くと、大勢の兵士が出てきた。 その中の1人、鄭倫が敵意に満ちた様子で叫んだ。 「き、貴様は黄飛虎!1人でやって来るとは大胆な!しかし、ここは通さんぞ。陛下に楯突く身の程知らずめ。しかし、この鄭倫に遭ったが運の尽きだ!覚悟せい!」 しかし黄飛虎はいつも通りに笑顔で答えた。 「おお、出迎えご苦労だな。蘇護の所へ案内してくれ。」 「貴様、反逆者の分際で!おい、こいつを捕らえるぞ!」 「おいおい、落ち着け!わしはただ、蘇護に話が・・・・・・。」 ようやく様子がおかしいことに気付いた黄飛虎がなだめるように言ったが、鄭倫は聞き入れようとはしなかった。 「問答無用!くらえ!吸魂光だっ!ふんっ!」 「うわっ!何だ!」 黄飛虎はその場にうずくまってしまった。 兵士が素早く彼を縛り上げる。 「よーし、引き上げるぞ。閣下もきっとお喜びだ!がっはっはっはっは。」 鄭倫は豪快に笑うと黄飛虎を引っ張って行ってしまった。 離れた場所からその様子を見ていた黄天祥が思わず足を踏み出す。 「ち、父上!」 すると太公望が彼を引き止めて言った。 「待つんだ、天祥。僕達だけじゃ、正面からは無理だ。どこかから忍び込んで黄飛虎殿を奪回しよう。」 「・・・・・・はい、分かりました。」 黄天祥は悔しそうに頷いた。 |
◆封神演義◆