倦土重来〜鎮守の沼にも蛇は住む〜 第2話

私、宮森あかねと姉の蘭は双子の姉妹である。
双子だけあって、今朝みたいに同じ夢を見たりすることがあるの。
でも、蘭の方が落ち着いてしっかりしてるかな?
私はよくおっちょこちょいって言われる。
私達は私立阿倉学園に通っている16歳の高校1年生。
阿倉学園は幼稚園から大学までの一貫教育をモットーにしていて、エスカレーター式で上がれるのよね。
兄の鷹仁は19歳で、大学1年生。
同じ阿倉学園に通っているの。
学園一の秀才って言われるくらい頭がいいのが、私の自慢。
それにとっても優しいし・・・。

「それじゃあ、ここで。2人共ちゃんと勉強するんだぞ。」
「はぁい、お兄ちゃん。ね、蘭?」
「うん。私はあかねとは違うからね。」
クスッと蘭が笑う。
「あーっ、もう、ひどいなあ。蘭ってば。まるで私が授業中いつも寝ているみたいな言い方・・・。」
「誰もそんなこと言ってないのに、あかねってば、墓穴掘ってる〜。」
「あっ。」
私は顔を真っ赤にして蘭の口を塞いだ。
「今の、何でもないから・・・。」
「もうしっかりバレてるよ。」
と言いながら、兄が苦笑する。
「だって・・・、最近ゆっくり寝られないんだもん。」
私は口を尖らせて言った。
でもこれは本当のこと。
最近よく見る悪夢のせいで、ほとんど眠ることができないのだ。
当然、授業中眠気が襲ってくる。
「とにかく、今日も一日頑張ってくるんだぞ。」
2人共兄にそっと背中を押された。
「分かった、何とか乗り切ってみせるよ。」
「あかねってば・・・。大げさなんだから・・・。」

「よっ、2人共元気か?」
兄と別れて校内へと入ると、聴き慣れた声が背後から聴こえてきた。
「あっ、一真君、おはよう!」
「おはよう、一真君。」
後ろを振り返っていつものように挨拶をする。
今声を掛けてきたのは、幼なじみで1つ年上の上杉一真君。
とにかく明るく活発で、小さい頃はいつも私達をいじめっ子から守ってくれたの。
剣道部に所属していて、県内でもかなりの上位にいるのよね。
でもいつも私のことをからかうのよ。
ひどいよね。
蘭に対しては優しいくせに・・・。
そんな私の考えをよそに、普段どおりの会話がかわされる。
「なあ、あかね、お前今日食欲なくねえ?」
「何でよ。」
「俺さあ、剣道部期待の星だろ?毎日の激しい練習で腹減っちまってさ。」
「お弁当があるでしょ?」
「それがさあ、朝練であまりにも腹の虫が止まらなくなったんで、さっき食っちまったんだ。」
「ちょっ・・・。」
驚きのあまり、蘭が声を発した。
「自業自得だよ、一真君。ちゃんとお弁当2つ持ってくればいいのに・・・。」
「なあ、お願いだよ、あかね〜。」
「私のを分けてあげようか?」
たまらず蘭が助け舟を出す。
「もう、蘭ってばー、そんなのほっとこうよー。」
「くーっ、蘭ちゃんてば何処かの誰かさんとは違って優しいねえ。さすがはお姉さんだなー。」
「何よ、それって誰のこと?私だって蘭と同い年なんだからね。」
「べっつにー。誰もあかねのことだなんて言ってないぜー。」
「もうーっ!」
私は怒りに任せて一真君を追いかけ始めた。
「おっ、こえー。」
一真君が走り出す。
「待てー。許さないんだからあ。」
私も後を追って廊下を走り出した。

ようやくもう1人登場です。
しかし、最近小説書く暇がないので困っております。
あと2回分くらいまでしか書けていません。
どうしましょう?(^^;)

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