倦土重来〜鎮守の沼にも蛇は住む〜 第4話

私は1年B組で、C組の蘭とは隣りのクラスなんだ。
だから会おうと思えば簡単に会えるというわけ。
一真君は1つ上の4階にある2年F組。
なのに、休み時間になるとやたらと私のクラスに顔を出してくるの。
大抵さっきみたいにお弁当をくれだの絵の具を貸してくれだの、そんな理由だったりする。
全く!
蘭にも借りに行けばいいのに・・・。

「みんな、おはよう!」
あっ、先生が来た。
私の担任の井田篤先生は、35歳なんだけど独身で人当たりも良いので、男女関わらず、生徒に人気があるのよね。
私ももちろん、大好きな先生なの。
真面目であまり冗談は言わないんだけど、要点を分かりやすく説明してくれるので、井田先生担当の日本史の授業はとても楽しかったりする。
「起立!」
「礼!」
「おはようございます。」
「では出席をとります。赤城英輔。」
「はい。」
「浅川信彦。」
「はーい!」
いつものように名前が呼ばれていく。
「川村澄香。」
「はい。」
私の番はかなり後なので、何となく窓から外を眺めていると、校庭の桜の木の側に誰かが立っているのが見えた。
誰だろう?
ふと、その人物が私の方に顔を向けた。
あっ、理事長先生だ。
阿倉崇理事長は26歳という若さで理事長の座についたらしい。
普段接する機会なんて滅多にないからよく分からないんだけど、何となく近寄り難い雰囲気だなあ。
そんなことを考えていると・・・。

えっ?
何故か一瞬理事長先生の瞳が青く光ったような気がした。
そして目の前に黒い龍が・・・。
何?
あの夢の中の龍が・・・。
なんで?
嫌っ。
その時私の目の前が真っ暗になった。

ガタンッ!

「おい、どうした宮森!」
「宮森さん、大丈夫?」

周りでクラスメイトや先生が心配そうに声を掛けている声も、既に私には届かなかった。

今回は2人も登場です。
しかも鬼の一族ですよ。(笑)
これから一気に展開できると良いのですが・・・。(^^;)

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