倦土重来〜鎮守の沼にも蛇は住む〜 第5話

あれ?
ここは・・・?

目を開けると、白い天井が見えた。
どうやら私は倒れてしまったらしい。
ここ、保健室?
いつの間にか保健室のベッドへと運ばれていた。
起き上がろうとして横を見ると、驚いたことに蘭も寝かされていた。
あれ?蘭?
もしかして蘭も倒れたの?

「大丈夫?宮森さん。」
保健の市村先生の声が聴こえた。
「あ、もう大丈夫です。私達、2人とも倒れたんですか?」
「ううん、違うのよ。蘭さんの方は何だか気分が悪くなったとかで、あなたとほぼ同時に保健室に連れられて来たわね。」
「そうなんですか。」
夢のことといい、今回のことといい、私と蘭の気分や体調なんかが同調っていうのかな?
昔からよく2人で同じような体験をしてきていた。

キーンコーンカーンコーン!

その時、チャイムが鳴り響いた。
丁度2限目の終わりらしい。
蘭はまだ調子悪いのかな?
ゆっくりと寝たせいか、私はもうすっきりとした気分になっていた。
でも、夢でもないのにさっきのあれは何だったんだろう?
何だか怖いよ。

ダダダダダダダダッ!

廊下を走る音と共に、保健室の扉がガラッと開かれた。
「おい、あかね、蘭、大丈夫か!?」
「上杉君、ここは病人がいる場所よ。静かに入って来なさい。」
「はい、すいません。で、大丈夫か?教室に行ったら2人共保健室だって言うしよ。」
驚いた。
まさかこんな所にまで来るとは思わなかったよ。
そんなにお弁当分けて欲しいのかなあ。
「私はもう大丈夫。蘭はまだ目を覚まさないみたいだけど・・・。」
「そうか。蘭は頑丈なお前と違ってデリケートだからな。」
「もうっ、こんな時に冗談はよしてよ!」
「ごめん、悪かった。」
珍しく一真君が頭を下げた。
「ん、ん〜っ。」
かすかなうめき声を上げて、蘭がようやく目を開いた。
「蘭、大丈夫?」
「あれ?あかね?一真君?私、突然気分が悪くなって。」
「実は私も丁度蘭と同じ頃に保健室に運ばれて来たらしいのよ。」
「そうなんだ。また私達、同調しちゃったね。」
「不思議だよなあ、双子って。」
一真君が感心したように言った。
「あなた達、もう教室へ戻れるわね?上杉君、悪いけど、2人を教室まで送り届けてちょうだい。」
「おう、任しとけって!」
一真君が市村先生に元気良く返事を返した。

今回は新メンバーはなしです。
ところで双子って、本当に同じところが痛くなったりするんですかね?
ア○ビリバボーとかでそういう話がありますが・・・。

46


倦土重来〜鎮守の沼にも蛇は住む〜へ