倦土重来〜鎮守の沼にも蛇は住む〜 第7話

うーん、難しいなあ。
お兄ちゃんなら、こんな問題すぐに解けると思うんだけどな。
私はさっきから数学の問題とにらめっこしていた。
「どうだい?」
織田先生は蘭のノートを覗き込んだ。
「一応解き終わったんですけれど。」
えっ?
蘭ってばもう解いちゃったの?
何でこういう時に限って双子の意思の疎通とかないのよー。
「正解だ。よく頑張ったね。これで期末試験も安心だと思うよ。」
「はい。ありがとうございます。」
「で、あかねちゃんはどうかな?」
「え、えーっとぉ。」
先生が私のノートを覗き込んでくる。
「ま、まだ・・・です。」
「どこが分からないのか言ってみて。」
「あのー、どこが分からないのかすらも・・・分からない・・・です。」
「くくく・・・ぷぷぷっ、くっ、あーっはっはっは。」
「そんなに笑わなくてもいいじゃないですかあっ!」
「ごめんごめん。じゃあ、もう一度、ここの所を復習してみよう。」
「はい。」
こうして頭の痛くなる勉強が終わり、先生は帰って行った。

はあー、参った、参った。
気分転換にピッコロの練習でもしよっと。
えーっとぉ、夜の女王のアリアだよね。
私は気持ちを楽器に集中させて、ピッコロを口にくわえた。
旋律が流れ始める。
夜だからなのかな?
何だか本当に女王様が目の前に見えるような気がする。

地獄と復讐が私の心の中に煮えかかっている
死と絶望が私のまわりに燃え上がっている
お前によって私が死の苦しみを感じないなら
お前はもうけっして私の敵ではない
永遠に勘当され 永遠に見捨てられる 永久に打ち砕かれる
自然の全ての絆は勘当され 見捨てられ 打ち砕かれる
自然の全て絆は
もしお前によっても私が恐れなくなったとしたら
お聴き、復讐の神々よ
お聴き、母親の誓いを

突然頭の中に言葉が響いた。
いいえ、言葉というよりも旋律。
まるで夜の女王の歌のような。
でも歌詞がちょっと違う。
それに声も男の人の声。
何だか怖い。
怖いよ・・・。

私は急速に意識を失い、ピッコロを手放した。

今回特に短いような気が・・・。
文章の切れ目を考えたらそうなってしまいました。
しかしあかねって気絶しすぎ。(笑)

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