倦土重来〜鎮守の沼にも蛇は住む〜 第8話

「あかねっ、大丈夫か?」
目を開けると、お兄ちゃんが心配そうに覗き込んでいた。
「あれ?私・・・?」
「蘭が突然気分が悪いというから心配になって来てみたら、お前が倒れていたんだよ。」
どうして・・・私。
自分が何故倒れたのか、全く思い出せなかった。
「疲れているんだろう。もう寝なさい。」
「うん、お兄ちゃん。」
私は何だか急に疲れを覚えたので、素直に兄の言葉に従った。

もうすぐ・・・
もうすぐだ
龍神の神子が私の手に入る
くくくっ
ふははははははっ

何者かの笑い声が暗い部屋に響いている。

私は夢も見ないほど深く眠りにつき、次の日の朝はすっきりとした気分で目を覚ました。

期末試験は織田先生がヤマをはってくれたお陰で、何とか乗り切ることができた。
今日からまた部活が始まる。
結局部活が休みの間、1日しかピッコロの練習をしなかった。
何故だか分からないけど。
最初は毎日練習しようと思っていたのに、頭の中で何かが引っかかった。
でも今日からまた頑張ろっと。

「では、ピッコロのパートから入りましょう。そこから入って下さい。」
私の番だ。
私はすうーっと息を吸い込むと、演奏を始めた。

地獄と復讐が私の心の中に煮えかかっている
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あれ?
何?
これ?
何の声?
ちょっと、嫌・・・。

でもすぐにその声は聞こえなくなった。
気のせい?
気がつくと、北条先輩のフルートが演奏に加わっていた。
何だか先輩のフルートで嫌な気分も吹き飛んじゃったな。
でも何だったんだろう?
さっきのあれ?
何だか前にも聞いたような・・・。
練習に集中しているうちに、いつの間にかそんなことも頭からすっかり抜け落ちてしまった。

さすが北条先輩。
フルートの力ってすごいですね。(笑)
しかし話が一向に進んでいない気が・・・。(^_^;)

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