倦土重来〜鎮守の沼にも蛇は住む〜 第9話
「よう、あかね、蘭。部活終わりか?」 放課後の部活の練習を終えると、玄関で胴着姿の一真君と出会った。 「あれ?一真君も練習終わったの?」 「ああ。」 「制服は?」 「面倒くさいから、このまま帰るよ。」 「うっわー、一真君汗臭いよ。早く帰ってシャワー浴びた方がいいんじゃない?」 「うっせー。仕方がないだろ?剣道部なんだから。」 「きゃー、一真くんの怒りん坊。」 「んだと、こらっ。」 「あははっ。」 「んもう、あかねと一真君ってば。ふざけていないで帰るわよ。」 「はいはい。」 蘭に言われて、私達は追いかけっこをやめた。 「もう、2人とも子どもみたいなんだから。」 「えへっ。」 私は舌を出してみせた。 「ところでお前、体の方は大丈夫なのか?」 一真君は先程までとは打って変わった真面目な顔で、私に尋ねてきた。 「うん。大丈夫だよ。」 「そう?最近あかね、具合が悪いことが多いみたいだから私も心配だわ。」 蘭も心配そうに顔を覗き込んできた。 「大丈夫だって。心配しないで。」 「でもさあ、あかねの具合が悪いと蘭の方も具合が悪くなるんだろ?」 「・・・・・・。ごめん、蘭。」 「何言ってるの?私達はお腹の中から一緒だったじゃない。きっと本当は1人の人間だったのに、2人に分かれて生まれてきちゃったのよ。」 「きっとそうだね。」 私と蘭は顔を見合わせて笑った。 夏とはいえ、外は薄暗くなってきていた。 「なあ、もうすぐ夏休みだろ?やっぱり部活の練習がいっぱいあるのか?」 「うーん、全部で2週間ぐらいかな?一真君は?」 「俺も一応合宿が1週間ってところかな?もし休みに余裕があったら海にでも行かないか?詩雄と息吹に誘われたんだけどよ。」 「詩雄君と息吹君に?」 「そういえば最近あまり会っていないね。」 「そうね、せっかくだから一緒に行きたいわよね。」 蘭もそう言って頷いた。 真田詩雄君は私達の幼なじみで、阿倉学園中等部の3年生。 私達の1つ下なんだけど、早生まれだから今は2歳違いね。 両親共にれっきとした日本人なんだけど、隔世遺伝なのかな? 金髪に青い目をしているの。 詩雄君はそのことを気にしているみたいだけど、私はとっても綺麗だと思う。 もう1人の伊達息吹君は詩雄君のクラスメートで、とっても元気な男の子。 以前はよく遊んでいたんだけど、高等部と中等部に分かれてからはあまり遊べなくなっちゃったのよね。 だから、夏休みだけでも一緒に遊びたいな。 海なんてとっても楽しそうだし。 結局私達は8月20日から22日まで、泊りがけで海へ遊びに行く約束をした。 私は遊びに行くのをとても楽しみにしていた。 |
ようやくニューキャラ登場。
といっても名前だけ。
実際には登場していないですね。(^^;)