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ようやく村を出たアルスとマリベルは、森の奥深くにある家に寄ってみることにした。

「誰か住んでいるみたいだ。」

家の裏には1人の男性がおり、炎が焚かれていた。

そして驚いたことに、男性の側には沢山の動物達が集まっていた。

「わはっは!そいつは面白い。そうか町ではそんな事が?」

他に人がいないところをみると、どうやら男性が話し掛けているのは動物達らしい。

「うわあ、すごいなあ。ねえ、マリベル。僕達も行ってみようよ。」

マリベルの返事を待たずに、アルスは動物達の元へと駆け出していた。

しかしその途端、動物達はあちこちへと散って行ってしまった。

がっかりとした表情のアルスを見て、男性は大声で笑った。

「わっはっは。やっぱり慣れない人間が来るとみ〜んな逃げちまうだなや。おやっ、お前さん達はひょっとしてグランエスタードの町から来ただねか?」

「いいえ、違います。」

「じゃあフィッシュベルの村から来たってわけだな。そいつはご苦労なこったね。そんならお前さん達にいいことを教えてやらねば。」

「えっ?何かしら?」

マリベルが思わず身を乗り出す。

「近頃あちこちで人様に迷惑ばかりかけている、え〜と、何てったっけかな・・・・・・。ア・・・ホ・・・ダラ・・・・・・ホ・・・ダラ・・・・・・。」

アルスは何となく嫌〜な予感がした。

「そうそう!ホンダラだ!」

やっぱり、という顔をするアルス。

ホンダラと言えば、ボルカノの弟であり、アルスの叔父でもある人間以外にはあり得ない。

「ホンダラとかいうしょうもない男が町や村をうろついてるらしいから、気をつけなきゃ駄目だぞ。」

まさか、おじさんの悪行はこんなところにまで広まっているのであろうか?

アルスの表情に気付くことなく言葉を続ける男性であったが、ふとアルスのおかしな表情に目を止めた。

「んっ?どうしてそんなこと知っているんだっていう顔をしているな。わっはっは。森の動物達が教えてくれるのさ。」

「えっ?本当なの?」

マリベルが疑いの眼差しを向ける。

「いいや、嘘じゃないって。森を愛し自然を愛してさえいれば、動物達とも仲良くなれるし、こうして話せるようにもなる。だからこんな森の奥に住んでいても、あいつらからいろんな話が聞けるってわけだ。良かったら時々遊びに来るといいだよ。動物達から面白い話でも仕入れたら聞かせてやっからさ。」

「どうもありがとうございます。それじゃあまた!」

アルスとマリベルは引き続き城へと向かうことにした。

「ちょっと、アルス。聞いた?あのおじさん。ものすごい訛りよね。田舎者丸出しだわ。」

マリベルがくすくすと笑いながら言った。

「ちょっとマリベル!失礼だよ!どんなしゃべり方だっていいじゃないか。」

「あら、あたしだっておかしいのを必死で我慢していたんだから!おじさんの前では言わなかったじゃないの!」

「だけどさ・・・。」

「もう!男のくせにごちゃごちゃとうるさいわね。さっさと行くわよ!」

またもや強引にアルスを引っ張って連れて行こうとするマリベルであった。

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