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「やったぜっ!」

キーファは飛び上がらんばかりに喜んだ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

しかし、その後特に変化は見られない。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

像に向かって目を凝らすキーファ。

「・・・・・・・・・・・・。」

他に変化はないか、些細なことも見逃さないぞという様子で更に目を凝らす。

「・・・・・・。???」

しかし像はそれ以上の変化を見せることはなかった。

「今一瞬光ったように見えたが、別に何も起こらないみたいだな。」

そう言うと、キーファはがっかりしたようにアルスの元へと戻って来た。

港へとやって来ると、トマスが早速尋ねてきた。

「おう、アルス。キーファ王子には会えたのか?」

「うん。お陰様で。」

「そうか。それは良かったな。」

「それじゃあ。」

アルスはトマスに別れを告げると、マリベルの家へと向かった。

「あらアルス、また来たの?そんなにあたしのことが気になるんだ。」

マリベルは得意そうに鼻を上に向けた。

「そんなんじゃないよ。」

アルスが咄嗟に否定すると、マリベルの目はアルスの手元へと向けられた。

「ところでその・・・大事そうに持ってる物は何?それを見せに来たの?」

「違うよ。」

そう言ってアルスは古文書を背中に隠そうとした。

「そう言われると余計に気になるんだなあ。いいから見せなさいよっ。」

マリベルはさっと腕を伸ばすと、彼の腕から古文書を奪い取ってしまった。

「何これ?何か古そうな本ねえ・・・。変な絵と後は文字ばっかり。見てるだけで頭が痛くなってきたわ。こういう物はあたしじゃなくて、誰か他の人に見せることね。そうね・・・。う〜んと・・・・・・。例えばよろず屋のおじさんとか。いいこと?その古い本をよろず屋さんに見せてみたらって教えてあげたのは、あたしなのよ。もしそれで何か面白いことになりそうだったら、まずあたしに知らせるのよ。これは約束だからね。フフン。」

マリベルはいつもの調子で勝手に約束を取り付けてしまった。

仕方なくアルスはよろず屋へと行ってみることにした。

「やあアルス、どうした?掘り出し物でも見つかったかい?」

「掘り出し物かどうかは分からないけど、面白い物ならあるよ。」

アルスはそう言って、よろず屋の主人に古文書を差し出した。

「どれどれ?ははーん、古文書か。かなり古い物だな、これは・・・・・・。ふんふん・・・・・・。」

よろず屋はしばらくの間古文書をパラパラとめくっていたが、首を横に振った。

「駄目だ・・・・・・。オレにはこういう物の価値は分からねえや。」

しかしふと思いついたように、こう続けた。

「そういや、グランエスタードのガケっぷちに変な爺さんが住んでるだろ。ガンコだが、色々物知りだって話だぜ。」

「ありがとう、おじさん。」

アルスは礼を述べると、グランエスタードへと向かった。

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