Shining Force III 3


「どうだな・・・シンビオス・・・。父コムラードの代理役は慣れたかな?」
ベネトレイムは穏やかに1人の少年に語りかけた。
しかし、フラガルドの領主の若き息子、シンビオスはいささか緊張した様子であった。
「ふふ、その様子ではまだのようだな。」
ベネトレイムはそう言って微笑んだ。
「コムラード殿・・・体調のためとは言え、この重要な会議に出席頂けぬとは残念だ。こんな時こそ、彼に来て欲しかった。」
「シンビオスを選んだことに不服かね。バリアント将軍の方が良かった・・・そう言いたいのかな、ティラニィ?」
ベネトレイムがティラニィに尋ねると、ブライバブルが助け舟を出すように言った。
「バリアントが会議に出たがっていて、それを気にしてるんだろ、ティラニィ。だが彼は会議には出せんよ・・・。」
「バリアントは血の気が多すぎるのだ。良い男だが、興奮したら手がつけられぬ。交渉事には向かぬ気性の持ち主だ。」
ベネトレイムがその言葉に相槌を打つ。
その言葉に、エキュアルも頷いた。
「ううむ・・・。」
その言葉ももっともであったため、ティラニィが唸る。
「だいいち、ダンタレスを望んだのは君だ。ダンタレスは武勇に劣らず忠誠に厚い。主人の同行という名目無くして来まい?」
ベネトレイムに続いて、ダンタレスが言葉を発した。
「シンビオス様はまだまだお若いため、確かに経験が必要でしょうが・・・、きっと将来共和国を支えましょう。」
「ありがとう、ダンタレス。」
「面白い話をしていたな、ブライバブル?」
ベネトレイムが話題を本題に戻した。
「うむ・・・ああ、ヤツらのことか。大した話しでは・・・ないのだがな。」
「控えの兵達の駐留地バルサモの町に、おかしな者達がいると聞いたのだよ。」
ティラニィが言葉を続けた。
「ほう、おかしな者達がな・・・。」
「ヤツらとは・・・バリアントが言ってた仮面の異教僧のことでしたか・・・。」
エキュアルが納得したように言う。
「そのような者達が・・・。」
シンビオスも真剣な表情で話を聞いている。
「和平会議の開催前よりバルサモに投宿し、平和祈願を続ける謎の異教僧達がいると、バリアント将軍が言っておられました。」
ダンタレスが報告した。
「仮面の・・・異教僧・・・。」
そう呟くと、ベネトレイムは椅子に腰掛けた。
「この大陸にエルベセム神がありながら、どうして異教がはびこるのでしょう?」
ダンタレスが疑問を口にする。
「民衆にとって理想の生活とは・・・当然、与えられるべき権利なのだよ。得られぬのは政治や宗教が悪いのだ。」
エキュアルの言葉にティラニィが続けて言った。
「勝手なことを・・・吹聴しているらしい。国家再編と絶対秩序を実現するのだそうだ。我々が目先の平和も実現できぬのに・・・。」
「随分気になさっておいでですね。ヤツらに何か心当たりがお有りですか?」
ダンタレスが尋ねると、ベネトレイムが言った。
「その異教徒達・・・本当だろうか。和平の祈願が目的と吹聴しているが、もしも・・・ヤツらの狙いが・・・。」
「別に目的があったとしたら、気をつけなくてはいけませんね。」
シンビオスが言葉を続けた。
「千年王国思想とかの流布が目的だろう?バーランドでは山ほど聞く世紀末思想さ。神の降臨により、平等の国ができるそうだ。」
ティラニィがあきれたように言った。
「ベネトレイムは極端に悲観論者だからな。なあに、おかしな連中には事欠かない。いちいち気にしていては身が保たんよ。」
「もしも・・・その仮面の異教僧達が私が耳にした者達のことであるなら、とても楽観的にはなれぬよ・・・。」
ブライバブルの言葉にも、ベネトレイムは不安が拭い去れないようである。
場の雰囲気を察したティラニィが、話題を変えようと切り出した。
「その話はまた今度するとしよう。我々は帝国との和平を実現するため、サラバンドまでやって来たのだから。」
「さて、今日の帝国との和平会議ですが・・・まだ時間のある間に作戦を・・・。」
エキュアルの言葉にベネトレイムが頷くと、扉をノックする音が響いた。

Back  Next

Shining Force ストーリー