Shining Force III 4


「何だ?」
ブライバブルが訪ねると、少女が遠慮がちに答えを返した。
「お話し中・・・恐れ入りますが・・・。サラバンドのご使者が参りました。」
「会議には間があるはずだが・・・。」
ブライバブルが不思議そうに呟くと、ベネトレイムはその言葉に頷いて立ち上がった。
「宜しい。お通ししなさい。」
ベネトレイムの許しを得て扉が開かれた。
部屋に入って来たのは、エルフの少女と使者であった。
エルフの少女が出て行くと、使者が早速口を開いた。
「本日の和平会議へ・・・お迎えに参りました。」
「予定よりだいぶ早いようだが?」
ブライバブルが疑問を口にすると、使者は言葉を続けた。
「我が主グラビーが申しますには・・・帝国と共和の両首脳をお招きしながら、和平が進展しないのは申し訳ない限りだ。つきましては正式の本会議に先立ち、下打ち合わせに両元首をお招きしたい。」
「随分急な話だな・・・。」
ブライバブルに続けて、ティラニィが言った。
「正式な会議としないとは・・・体の良い人払いというわけか?」
ベネトレイムが穏やかな口調で言葉を続けた。
「会議に多くの者が介せば・・・多くの思惑で泥沼化してしまう。2人で直接解決しろということだな。よし・・・行こう。」
ベネトレイムが使者の後に付いて行きかけると、ブライバブルが彼を制した。
「供も付けずに行くつもりか?」
「エキュアルに供を頼もう。」
ベネトレイムの返答に、ティラニィが疑問を返す。
「当事者の私ではないのか!」
「思惑があると・・・会議が進展しない。グラビー殿のお心配りを考えた場合、ティラニィは・・・出席せぬ方が良い。」
そう言って行きかけたベネトレイムであったが、振り返るとシンビオスに顔を向けた。
「シンビオスにも仕事を頼みたい。お前は我々と違い、顔が知れていない。サラバンドの隅々まで話をして歩き、我々では入手できない情報を集めよ。」
「分かりました。」
「今日、私とドミネート皇帝が会ってそれで全てが丸く収まるほど甘くない。・・・社会とは複雑なものだぞ。それにお前は、父に似て真面目過ぎる。周りに気を使い過ぎては息も詰まるぞ。・・・社会の複雑さも見てくるがいい。」
シンビオスが頷くと、ベネトレイムはダンタレスに顔を向けた。
「ダンタレスにも教えておくことがある。帝国の騎士、キャンベルと言ったか・・・帝国の第3王子メディオン殿の供として、このサラバンドに来ているそうだよ。」
「キャンベルと言いますと・・・もしや、あの勇猛な騎士・・・。」
「かつて・・・国境でも小競り合いの際、お前と見事な戦いをしたあの騎士だ。町のどこかで会えるかも知れぬな。」
そう言ってベネトレイムは、ようやく使者の方を振り返った。
「お待たせしましたな。」
使者は黙って頷くと、ベネトレイムと一緒に部屋を後にした。
エキュアルも続いて出て行く。
「行ってしまったな・・・。」
ブライバブルが呟くと、ティラニィが彼に尋ねた。
「我々はどう致しましょう?」
「・・・待つしかあるまい。」
そう言ってブライバブルは、シンビオスの方に向き直った。
「そなたには、仕事が与えられたであろう。シンビオス・・・行って参るが良い。」
その言葉に、シンビオスは頷いた。

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