Shining Force III ◆ 4
「何だ?」 ブライバブルが訪ねると、少女が遠慮がちに答えを返した。 「お話し中・・・恐れ入りますが・・・。サラバンドのご使者が参りました。」 「会議には間があるはずだが・・・。」 ブライバブルが不思議そうに呟くと、ベネトレイムはその言葉に頷いて立ち上がった。 「宜しい。お通ししなさい。」 ベネトレイムの許しを得て扉が開かれた。 部屋に入って来たのは、エルフの少女と使者であった。 エルフの少女が出て行くと、使者が早速口を開いた。 「本日の和平会議へ・・・お迎えに参りました。」 「予定よりだいぶ早いようだが?」 ブライバブルが疑問を口にすると、使者は言葉を続けた。 「我が主グラビーが申しますには・・・帝国と共和の両首脳をお招きしながら、和平が進展しないのは申し訳ない限りだ。つきましては正式の本会議に先立ち、下打ち合わせに両元首をお招きしたい。」 「随分急な話だな・・・。」 ブライバブルに続けて、ティラニィが言った。 「正式な会議としないとは・・・体の良い人払いというわけか?」 ベネトレイムが穏やかな口調で言葉を続けた。 「会議に多くの者が介せば・・・多くの思惑で泥沼化してしまう。2人で直接解決しろということだな。よし・・・行こう。」 ベネトレイムが使者の後に付いて行きかけると、ブライバブルが彼を制した。 「供も付けずに行くつもりか?」 「エキュアルに供を頼もう。」 ベネトレイムの返答に、ティラニィが疑問を返す。 「当事者の私ではないのか!」 「思惑があると・・・会議が進展しない。グラビー殿のお心配りを考えた場合、ティラニィは・・・出席せぬ方が良い。」 そう言って行きかけたベネトレイムであったが、振り返るとシンビオスに顔を向けた。 「シンビオスにも仕事を頼みたい。お前は我々と違い、顔が知れていない。サラバンドの隅々まで話をして歩き、我々では入手できない情報を集めよ。」 「分かりました。」 「今日、私とドミネート皇帝が会ってそれで全てが丸く収まるほど甘くない。・・・社会とは複雑なものだぞ。それにお前は、父に似て真面目過ぎる。周りに気を使い過ぎては息も詰まるぞ。・・・社会の複雑さも見てくるがいい。」 シンビオスが頷くと、ベネトレイムはダンタレスに顔を向けた。 「ダンタレスにも教えておくことがある。帝国の騎士、キャンベルと言ったか・・・帝国の第3王子メディオン殿の供として、このサラバンドに来ているそうだよ。」 「キャンベルと言いますと・・・もしや、あの勇猛な騎士・・・。」 「かつて・・・国境でも小競り合いの際、お前と見事な戦いをしたあの騎士だ。町のどこかで会えるかも知れぬな。」 そう言ってベネトレイムは、ようやく使者の方を振り返った。 「お待たせしましたな。」 使者は黙って頷くと、ベネトレイムと一緒に部屋を後にした。 エキュアルも続いて出て行く。 「行ってしまったな・・・。」 ブライバブルが呟くと、ティラニィが彼に尋ねた。 「我々はどう致しましょう?」 「・・・待つしかあるまい。」 そう言ってブライバブルは、シンビオスの方に向き直った。 「そなたには、仕事が与えられたであろう。シンビオス・・・行って参るが良い。」 その言葉に、シンビオスは頷いた。 |