Shining Force III 5


「シンビオス様、私も一緒に参ります。」
「ありがとう。ダンタレスが一緒なら心強いよ。」
「サラバンドの西に帝国の寄宿舎がある。新しい情報が色々と聞けるかも知れん。多くの人と話してみると良いだろう。」
「お父上のコムラード殿が来なかったのは共和国にとって、多くの痛手になっている。その分、お前が役立たねばならぬのだ。」
「はい、お役に立てるように頑張ります。」
ブライバブルとティラニィの言葉に答えて、シンビオス達は2人の前を後にした。
「ここには本が沢山あるんだな。何か役に立ちそうな物はあるだろうか?」
「そうですね、何かあるかもしれません。」
「『軍隊などの集団戦闘の心得!』か。」
「シンビオス様も軍略は学んでおられるのですよね?」
「ああ。」
そう答えながらシンビオスは本をめくってみた。
「遠隔攻撃系兵士が先制で損傷を与えた後、直接攻撃系で仕留めることを基本とせよ。」
「なるほど、確かにそうですね。」
ダンタレスがシンビオスの手にしている本を覗き込みながら言った。
「なるべくこの本が役に立つようなことがないことを祈りたいけれどね。」
シンビオスはそう言いながら本を棚に戻すと、部屋を後にした。
「置いてけぼりにしないで下さいね。」
部屋を出た途端、キャントールのグレイスが姿を現した。
「おお、グレイスか。で・・・、マスキュリンはどこだ?」
「あの子、怒られると思って・・・小さくなって隠れていますわ。」
グレイスが答えると、ダンタレスはやや大きな声で言った。
「当たり前だ。会議中だというのに窓から中を覗き込みおって。お陰でオレが大目玉だ・・・。」
「許してやって頂けません・・・。今はとても反省しておりますわ。」
「そうだよ、ダンタレス。マスキュリンだって決して悪気があったわけではないのだし。」
「そ、そんな・・・簡単に許してはマスキュリンのためになりません。」
「でも大変反省しているというじゃないか。そんな剣幕では出ようにも出てこられないよ。」
シンビオスの言葉に、ダンタレスは仕方がないというように首をすくめた。
「シンビオス様がそれほど言うなら、今夜だけは見逃しましょう・・・。」
「出て来ていいわよ、マスキュリン!ダンタレス様からお許しが出たわ。」
グレイスが声を掛けると、ようやくマスキュリンが2階から降りてきた。
「えへ・・・、さっきはごめんなさい。」
「マスキュリン、お前な・・・。」
何か言いかけたダンタレスの目の前に、マスキュリンはすかさず隠していた花を差し出した。
「な、何だ・・・花じゃないか?どうしたんだ、これが・・・。」
「先程のご使者から頂いたんですけど、さっきのお詫びに差し上げます。」
「そんな物よりもだな・・・。」
しかしマスキュリンはダンタレスには目もくれずに、シンビオスに向かって言った。
「シンビオス様はいかがですか?」
「お前、人の話はな・・・。」
ダンタレスの言う事は完全に無視である。
「ありがとう、マスキュリン。」
シンビオスが花を受け取ると、マスキュリンはくるりとダンタレスを振り返った。
「はーい、何でしょう?」
見事なまでの笑顔を見せられ、ダンタレスはがっくりと肩を落とした。
「もういいよ・・・。」
「えへへ・・・。」
ダンタレスはシンビオスに向かって声を掛けた。
「ベネトレイム様のお心遣いのお陰で、堂々とサラバンドを見て歩けるのです。早速参ると致しましょう。」
「私達もご一緒しますわ。」
こうして魔術師のマスキュリンと僧侶のグレイスも彼らに同行することになった。

Back  Next

Shining Force ストーリー