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「くっ・・・タウゼントフェスラーは・・・輸送機は無事なの!?・・・・・・・・・。反応がない・・・まさか、そんな馬鹿な・・・!!リオ、応答してよっ!!」

不安にかられたリョウトの前に、突如連邦軍のモビルスーツが姿を現した。

「あれは連邦軍のモビルスーツ!まさか・・・あいつらが輸送機を!?」

「ほう、さすがはヒュッケバインだ。輸送機の爆発にビクともしていない。並のモビルスーツとは出来が違うって話も頷けるな。同じMK-IIでも、あの機体の方が上かも知れん。道理でジャマイカンがあれを欲しがるわけだ。」

連邦軍のモビルスーツのパイロットが感心したように呟いた。

「そこのモビルスーツ!!僕の輸送機はマオ・インダストリーの所属だ!何故、攻撃するの!?」

リョウトが問い掛ける。

「チッ・・・、パイロットが乗っていたか。各機、当初の予定通りにヒュッケバインを奪取しろ!それと・・最悪の場合、パイロットを殺しても構わんぞ。」

「何っ・・・仕掛けてくる?くっ、やるしかないの!?まだパーソナルトルーパーを動かしたことはないのに・・・!マニュアルはどこだ!?」

その時、リョウトの頭の中にあるイメージが閃いた。

「!な、何!?頭の中に・・・操縦方法の情報が流れてくる!?ヒュッケバインが僕に操縦方法を教えてくれるの!?」

思ってもみなかった出来事に少しとまどったものの、リョウトはごく自然に頭に浮かんだイメージを受け入れていた。

「・・・・・・・・・。・・・基本操作はPTがやるのか。後は機体の移動と武器の選択、それに敵から攻撃を受けた時の対処を選択・・・。」

「怒涛のよう情報が流れ込んできたが、リョウトには不思議と一瞬で操縦方法を理解することができた。

「ヒュッケバインMK-IIには『グラビティ・ウォール』という特殊な防御装置があるみたいだ。これは気力が上がれば、自動で起動する。普通の敵の攻撃ならダメージを無効にしてくれる。よ、ようし!このままやられてたまるものか!」

リョウトが反撃を開始しようとしたまさにその時、更に別の部隊が姿を現した。

「やはりティターンズの部隊だ。見慣れないパーソナルトルーパーを攻撃しているぞ。」

「妙だな。ティターンズがこんな宙域にいるとは・・・。」

「あのパーソナルトルーパーが目当てだというのか?」

「ヘンケン艦長、相手がティターンズなら、あの機体を救助したほうがいいだろう。」

サングラスをかけた男が言った。

「ふむ・・・。」

「恐らく、あれはヒュッケバインタイプだ。ならば、EOTが使われている可能性が高い。」

「ふむ・・・だとしたら、ティターンズにEOTを渡すのは避けたい所だな。頼めるか、大尉?」

ヘンケン艦長がサングラスの男に声を掛ける。

「了解した。アポリー中尉、調子はどうか?」

「コクピットが違っても、3日もあれば自分の手足にすることは出来ます。」

アポリー中尉が応答する。

「自分達はマニュアル通りの訓練などはやっておりません。それで一年戦争もくぐり抜けて来たのですから・・・。」

「ロベルト中尉・・・、その過信は自分の足下をすくうぞ。」

「はっ、クワトロ大尉。」

サングラスの男、クワトロ大尉に注意され、引き締まった顔で返事をするロベルト中尉。

「ティターンズとの前哨戦だ。各機、確実に敵機を撃破しろ。」

クワトロ大尉が命令する。

「了解です。」

返事をしたのは女性であった。

クワトロ大尉はすかさず、リョウトに通信を入れた。

「そこのパーソナルトルーパー!今から救援に向かう。もし、機体が損傷しているのなら戦域から離脱しろ。」

その声に、リョウトはわずかながらほっとした表情を見せた。

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