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リョウトと一緒に出撃したクワトロは、懐かしい感触をおぼえていた。

「・・・この感触・・・アムロ=レイ、ララァ=スンか・・・?」

「大尉、どうかしたんですか?」

リョウトが声を掛ける。

「いや、何でもない・・・。」

そう答えたものの、クワトロはすぐに何かを見つけて叫んだ。

「!ガンダム・・・?」

もう一度目を凝らしてよく見てみる。

「・・・あのシルエットは間違いない。ガンダムだ。」

「ガンダムって、1年戦争でニュータイプのアムロ=レイが乗っていたモビルスーツですね。」

「そうだ。ティターンズはガンダムを開発し、それを自分達のシンボルにするつもりらしいな。確かに、ガンダムの名は軍内部だけでなく、民間に対しても影響力が大きい。彼らはガンダムを利用して、自分達の権力をスペースノイドに顕示するつもりなのだ。」

「・・・では、アムロ=レイもティターンズにいるんですか・・・?」

「ニュータイプを戦争の道具としか認識していない人々にとって、彼は厄介な存在だ。・・・噂では地球のどこかに幽閉されていると聞く・・・。」

(ニュータイプは・・・戦争の道具・・・。)

リョウトの胸に衝撃が走った。

「む・・・ガンダムが動くぞ。」

そのガンダムに搭乗していたのは、ティターンズのジェリド中尉であった。

「さすがはガンダムだ。性能がジムクゥエルとは段違いだな。」

「こいつは俺達の機体になる。上手く扱えるか、ジェリド?」

もう1機のガンダムのパイロットが尋ねた。

「フン、乗りこなしてみせるさ!」

 

クワトロは3機のガンダムを観察するとリョウトに向かって言った。

「残りの1機には誰も乗っていないようだ。あれに隣接し、奪取する。いいな、ターゲットのガンダムはこれだ。我々の機体をその隣りまで移動させればいい。だが、コロニーの中での戦闘は極力避けろ。出来れば無傷でガンダムを手に入れたい。」

(戦闘せずにガンダムを奪うのか。た、確かに難しい作戦だ・・・。けど、グラビティ・ウォールなら多少の攻撃は完全に防げるがず・・・。)

そう考えてリョウトはヒュッケバインでリック・ディアスの後を追った。

「な、何だ?敵襲だぞ!!」

ジェリドが叫んだ。

もう1機のパイロット、カクリコンも2機の姿を認めると驚いたように言った。

「あのモビルスーツは・・・エゥーゴの機体か!?しかも・・・その隣りにいる奴はモビルスーツではない・・・あれは・・・ヒュッケバインタイプか!?」

「ヒュッケバインだと?あの機体は月の基地もろとも消滅したんじゃないのか!?」

「いや・・・あのシルエットは間違いなくヒュッケバインタイプだ。細かいディテールは違うようだがな。しかし、どうしてあのバニシング・トルーパーがこんな所に・・・。」

「フン、都合がいい。ガンダムMK-IIの実戦テストをやる。」

「待て!コロニー内でモビルスーツ戦をするつもりか!?」

「敵がエゥーゴなら、闘わなければならないのがティターンズだ!ゲリラごときに屈してたまるものかよ!それにエゥーゴの新型とヒュッケバインが手に入れば、ジャマイカンも文句を言うまい!」

カクリコンの静止を振り切ってジェリドが攻撃を仕掛けるため、機体を移動させた。

「仕掛けてくる気か?コロニーへの多少の損傷もやむを得ない・・・ここまで来てMK-IIを見るだけなどとは・・・!それにしても・・・連邦軍はいつになったら、ここが地球と地続きでないということが分かるんだ!」

クワトロが悔しそうに叫んだ。

非常事態である。

しかしリョウトは、ガンダムMK-IIを奪うことを諦めてはいなかった。

急いでヒュッケバインをガンダムMK-IIに隣接させた。

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