ソラの港
やがて船はソラの港に到着した。
リュナン一行は船から降りると早速町へと向かった。
「ここがソラの港町か・・・・・・。大国ウエルトの海の玄関口にしては、やけに静かな所だな。」
リュナンの言葉にオイゲンが答えた。
「いきなりこんな海賊船が現れては、怯えるのも当然でしょう。ホームズ、お前達は早々に立ち去れ。わしらまで海賊と思われてはかなわんからな。」
「ちっ、相変わらず口の減らねえジジイだぜ。言われなくても退散するさ。」
「やはりイスラ島に渡るつもりなのか?」
リュナンがホームズに尋ねた。
「ああ、あの島なら帝国の目も届かないし居心地も良さそうだ。海賊共を追い出して俺達の本拠地にするつもりだ。」
「君達だけで大丈夫なのか?」
「ふっ、心配はいらねえよ。海賊討伐は俺達の仕事だ。奴等はこの海獅子の旗を見ただけで逃げ出すだろうよ。それよりリュナン、心配なのはお前の方だ。ラゼリア兵は頼りない奴等ばかりだし、肝心の守り役があの爺さんじゃな・・・・・・。」
そう言ってホームズはちらりとオイゲンの方に目を向けた。
「そうだ、信頼できる部下を一人つけてやろう。・・・・・・ガロ、降りて来い!」
すると船からいかにも海の男らしい体格の良い男が顔を出した。
「分かってますよ、若。船から降りて、リュナン公子のお供をしろってんでしょう。」
「そうだ、力を貸してやってくれ。」
「すまないな、ホームズ・・・・・・。それにガロも・・・・・・。」
リュナンはホームズの申し出に心から感謝していた。
「じゃあな、リュナン。しばしのお別れだ。お互いの行く末に幸運の潮風の導きがあらんことを!」
「ああ!ホームズ達も気を付けて!」
こうしてリュナンとホームズはお互いの目的のために別れることになったのである。