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少女を守って

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町の外でリュナンは、2人の女性が必死に逃げているらしいところに出くわした。
「どうしたんだ?あの兵士達に追われているのか?」
「!・・・・・・。」
リュナンが話し掛けると、少女は驚いた様子でリュナンの顔を見つめた。
「リュナン様、話しているヒマはありませぬぞ。まずは奴らを追い払いましょう。」
「そうだな。追手は僕達が引き受ける。君は安全な場所に・・・・・・。戦いが終わったら、話を聞かせてもらう。」
オイゲンの勧めに従い、リュナンは少女にそう告げた。
「は、はい・・・・・・。」
サーシャはそう答えると、再び走り出した。
「異国の騎士が?・・・・・・一体何者なの・・・・・・。」
思いがけなくも助けを得たケイトは、リュナン達の戦う姿を見ながらそう呟いた。

「私には細身の槍の方が扱いやすいようです。」
クライスは細身の槍を購入すると、構えて見せた。
「クライス、早々にそれを使うことになりそうだぜ。」
コッダ軍の兵の攻撃を受け止めながら、アーキスがクライスに向かって言った。
「分かっている。」
そう答えると、クライスはコッダ軍に向かって馬を走らせた。

町の中へ逃げ込んだサーシャは、とある民家を訪れていた。
女性はサーシャを優しく出迎えてくれた。
「つい半年前までこのウエルトは平和で、穏やかな国でした。そう、ロファール陛下がバルト戦役に向かわれて国を留守にされるまでは・・・・・。陛下の留守をいいことに宰相となったコッダ伯爵の横暴で、この港もすっかり活気を失ってしまいました。宰相の兵がやって来ては船の積荷に法外な税金をかけ、何もかも根こそぎ奪ってゆくのです。こんな状態ではとても私達は生きてゆけません・・・・・・。ああ、ロファール陛下さえご健在であられたなら・・・・・・。」
彼女の話を聞いたサーシャは、辛そうに黙り込んでしまった。
そんなサーシャの表情に気付いた彼女は、サーシャに詫びた。
「あ、ごめんなさい。初めてお会いする方にグチを聞かせてしまうなんて。お詫びと言っては何ですが、この革の盾をお持ち下さい。父の形見なのですが、お役に立てば嬉しいです。」
「そのような大切な物を頂くわけには。」
「いいんです。あなたは追われているのでしょう?私が持っているよりもきっと役に立つでしょう。」
「ありがとうございます。大切に使わせて頂きます。」
サーシャは礼を述べると、民家を後にした。

「サーシャ様、危ない!」
ケイトは手弓で敵に攻撃を仕掛けた。
「お怪我はありませんか?」
「大丈夫よ、ケイト。」
「あと少しの辛抱です。」
「分かっているわ、ケイト。ありがとう。」

「あ奴が敵の隊長のようですな。」
「アーマーナイトか。」
「よし、行くぞ!」
リュナン達は敵のアーマーナイト目掛けて進んで行った。

「邪魔だては許さぬ!」
敵将のルースが、クライスを狙って鉄の槍で攻撃を仕掛けてきた。
「くっ。」
クライスが細身の槍で反撃する。
「ケイト、私も逃げているばかりではいられないわ。」
「サーシャ様!」
サーシャはケイトの制止を振り切って、ルースに向かって駆け出した。
「やあっ。」
攻撃を仕掛けてきたサーシャに向かって、ルースが不敵な笑いを浮かべた。
「王女に手荒な真似はしたくないのだがな・・・・・・。」
「黙りなさい!」
サーシャは精一杯の表情でルースを睨み付けた。
「下がって!」
リュナンは彼女を庇うと、レイピアでルースに突き掛かった。
「くそっ。」
ルースも素早く反撃したが、リュナンは攻撃を受けながらも再び攻撃を仕掛けた。
「くっ・・・・・・不覚・・・・・・。」
ルースはその場に崩れ落ちた。

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2004年9月3日更新