3 |
とある家の中から、長い髪を後ろでたばねた長身の少年が姿を現した。 少年は家の中の妹に向かって声を掛ける。 「それじゃ、狩りに行って来るよ。」 「気をつけてね、お兄ちゃん。」 「ああ、留守番頼むぞ。」 「お兄ちゃん、クレスさんに渡したい物があるって伝えて欲しいんだけど。」 「ああ、分かったよ。」 「行ってらっしゃーい。」 妹は兄に向かって大きく手を振った。 少年はクレスの家へと向かう。 クレスの家の前に辿り着いた少年は、大きな声で叫んだ。 「おーい、クレス〜、行くぞ〜!」 「あの声はチェスターか?」 ミゲールがクレスに尋ねると、クレスはすまなさなそうな顔をして答えた。 「あ、父さんごめん。今日は、チェスターと約束してたんだった。」 「ああ、ペンダントのことは夕食の時にでも話そう。」 「はい。」 「トリスタン師匠、ゆっくりしていって下さい。」 師匠のトリスタンに声を掛けると、クレスは外へと出て行った。 - 第3話完 - |