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「悪い悪い、待たせたな。」 クレスがチェスターに謝ると、チェスターは別段怒っている風でもなく言った。 「気にするなよ。それより、誰か来てるのか?みんなの声が、いつにも増して気合入ってるように聞こえるけど・・・。」 「ああ、師匠が来てるんだ。」 「師匠って、トリスタンとかいう爺さんか?あんまり、すごい人には見えないけどな。」 「昔、父さんは師匠に厳しく剣の手ほどきを受けたという話だけど・・・。」 そんな2人の会話を遮るように女性の声が聞こえてきた。 「クレス。」 クレスを呼ぶ声に続いて家の中から姿を現したのは、母親のマリアであった。 「母さん、まだ病み上がりなんだから外に出ちゃダメだよ。」 「でも、お前が心配でね。ケガしないように気をつけなさいよ。」 「分かってる。チェスターの弓と俺の剣があれば大丈夫さ。」 「おばさん、心配しないで。山ほど獲物を狩ってくるから。」 チェスターもマリアに心配かけまいとして笑顔で答えた。 「分かったわ。でも、くれぐれも無理はしないでね。はい、これを持って行きなさい。」 そう言ってマリアが手渡したのは、アップルグミであった。 「それじゃあ、そろそろ出掛けようぜ。」 「ああ、そうしよう。」 チェスターの誘いにクレスが答えた。 - 第4話完 - |