4
「悪い悪い、待たせたな。」

クレスがチェスターに謝ると、チェスターは別段怒っている風でもなく言った。

「気にするなよ。それより、誰か来てるのか?みんなの声が、いつにも増して気合入ってるように聞こえるけど・・・。」

「ああ、師匠が来てるんだ。」

「師匠って、トリスタンとかいう爺さんか?あんまり、すごい人には見えないけどな。」

「昔、父さんは師匠に厳しく剣の手ほどきを受けたという話だけど・・・。」

そんな2人の会話を遮るように女性の声が聞こえてきた。

「クレス。」

クレスを呼ぶ声に続いて家の中から姿を現したのは、母親のマリアであった。

「母さん、まだ病み上がりなんだから外に出ちゃダメだよ。」

「でも、お前が心配でね。ケガしないように気をつけなさいよ。」

「分かってる。チェスターの弓と俺の剣があれば大丈夫さ。」

「おばさん、心配しないで。山ほど獲物を狩ってくるから。」

チェスターもマリアに心配かけまいとして笑顔で答えた。

「分かったわ。でも、くれぐれも無理はしないでね。はい、これを持って行きなさい。」

そう言ってマリアが手渡したのは、アップルグミであった。

「それじゃあ、そろそろ出掛けようぜ。」

「ああ、そうしよう。」

チェスターの誘いにクレスが答えた。

- 第4話完 -

BackNext

Back