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「あっ、そうだ。忘れてた。」

チェスターが急に思い出したように言った。

「アミィが、お前に渡したい物があるってさ。」

「へえ、何だろう?」

2人は橋を通りかかった。

「あ、クレス君かぁ。びっくりしたぁ。」

そんな風に声を掛けてきたのは、来月結婚を迎えるという若い男女だった。

「私達、来月結婚するでしょ。どんな結婚式にしようかなって、彼と話してたの。」

「よっ!クレスも早くいい人見つけろよ!」

それを聞いて、偶然居合わせた女の子が2人に憧れの目を向ける。

「あ〜あ、私も早くお嫁さんになりたいな。」

アミィが待っていると聞いて、チェスターの家に立ち寄ることにした2人であったが、寄り道しながらだったため、意外に時間がかかってしまった。

クレスに懐いている少年がクレスを見つけて、声を掛ける。

「お兄ちゃん、今度また剣術教えてくれよ。オレ、もっともっと強くなりたいんだ!」

「うん。俺で良ければいつでもいいよ。」

「わーい!ありがとう。」

トーティスの村には旅人が立ち寄ることもあった。

「私は世界を行脚する者です。ここは自然が多くて、いい所ですね。しばらく、この村にお世話になろうと思っています。」

そう言うほど、村は豊かな自然に恵まれ、暮らしやすい所であった。

しかしそんな村にも、万一の時に備えて危険を皆に知らせるための鐘が設置されていた。

2人が鐘の前を通りかかると、鐘を鳴らすのが仕事の少年が声を掛けてきた。

「よぉ、クレス、また狩りに出掛けるのかい?」

「うん。」

「最近この鐘を鳴らすような事件がなくて退屈だよ・・・。平和ってのは結構なんだけど、俺、失業しちゃうかも・・・。」

「そんな心配をしていられるうちが幸せなんだよ。」

「そうだよね、やっぱり。でも暇だなあ。俺も一度狩りをしてみたいなあ。」

少年と別れた2人は、先程とは別の旅人に出会った。

「旅のコツを教えてあげましょうか?」

「コツ、ですか?」

「そうです。」

「じゃあ、お願いします。」

「まぁ、何はともあれ、世界を見渡すことですね。それから、位置と方位の確認かな。位置を確認するには、地図を見るのが一番ですね。方位はコンパスで確認できますよ。」

「ありがとうございます。では、気をつけて旅をお続け下さい。」

2人は旅人に別れを告げると、宿屋の女将に挨拶に行くことにした。

- 第5話完 -

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