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どれくらい泣いていたのだろうか。

ようやく立ち上がったクレスは、チェスターのことが気になり彼の家へと足を向けた。

チェスターはアミィの躯の側にしゃがみ込んでいた。

「・・・・・・。」

言葉を掛けるのはためらわれたが、クレスは思い切って声を掛けた。

「チェスタ・・・、チェスター、ここは危険だ。ユークリッドの僕の伯父の所へ行こう・・・。」

「・・・・・・。アミィや村の人達をこのままにして、逃げるっていうのか?オレは嫌だ!行くんなら一人で行け!」

そう叫ぶと、チェスターは再び黙り込んでしまった。

「・・・・・・。みんなを弔わないと・・・。オレ一人だけでも・・・。」

そう、自らに言い聞かせるようにチェスターは呟いた。

「村を襲った奴らが戻って来たら、殺されるかもしれないんだぞ!」

「・・・・・・。すまん、クレス・・・。それでも、オレは・・・。」

「チェスター・・・。」

「先に行っててくれ・・・。二人共残るのは危険だ。オレは後から必ず行くから。」

チェスターの言葉を信じてやらなければならなかった。

「必ずだぞ・・・。」

クレスはそう念を押した。

「ああ、必ずだ・・・。二人で必ず仇を討つぞ!」

「ああ!!」

そう返事をしてからクレスはアミィの亡骸に目を向けた。

「アミィちゃん・・・。」

「クレス、後から必ず行くから・・・。」

「必ずだぞ。北のユークリッドで、待ってるからな!」

クレスは死の間際に母マリアが残した言葉を思い出していた。

『あいつらは・・・、お前のペンダントを・・・。』

「父さんがくれた、ペンダントを狙う奴ら・・・。・・・・・・。・・・。」

しばらく考えを巡らせていたクレスであったが、遂に決心を固めた。

「!早くここから離れよう!そうすれば、少なくともチェスターが狙われることはないはずだ・・・。」

クレスは最後にもう一度家に戻って、別れを告げることにした。

「父さん・・・。母さん・・・。」

家の中では既に皆息絶えていた。

2階へ向かう階段を登って行く。

やはり生きている者は皆無だった。

ふと暖炉に目を向けたクレスは、見事な輝きを放つ剣を見つけた。

「この剣は・・・。父さんのでも僕のでもない。もしかして、ここを襲った奴らの!?」

何故このような場所に立派な剣が置かれているのか分からなかったが、とりあえずクレスはその剣を持って行くことにした。

それはナイトサーベルと呼ばれる剣で、これからどんな危険が待っているかも分からないクレスにとっては充分すぎる代物だった。

村の外へ出たクレスは、改めてこれからのことを考えた。

「とにかく、ユークリッドに行こう。オルソン伯父さんなら、どうすればいいか教えてくれるかもしれない。母さんに言われた通り、ユークリッドに行ってオルソン伯父さんに村のことを話そう。」

- 第12話完 -

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