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ユークリッドへと向かう途中、クレスはバグベアやビー、アウルなどに出くわしたが倒して進んで行った。

山道に辿り着くと、ク石像のような物が道を塞いでいた。

「これは、石像か?こんな所に石像なんてあったかな?」

クレスは石像を持ち上げてみることにした。

「持ち上げるのは無理か・・・。押したり引いたりするくらいならできそうだな。」

石像の近くには立て札が立てられていた。

「磨り減ってて、何て書いてあるのか分からないな・・・。」

すると、行商人が歩いて来るのが見えた。

「あれ?こんな所に行商人が?」

途中で行商人に出会うと、彼はクレスに話し掛けてきた。

「旅には万全の準備が必要ですよ。何か買って行きませんか?」

「そうだなー、オレンジグミとアップルグミを下さい。それと、このロングソードを売りたいのですが。」

「ありがとうございます。それではお気を付けて!」

行商人と別れたクレスは石像を力任せに引いて動かすと、山道を登り始めた。

何度かモンスターとの戦闘を繰り返しながら、クレスはようやくユークリッドの都へと辿り着いた。

「確か、伯父さんの家は北西の方だったな。」

ユークリッドは都だけあってさすがに大勢の人で賑わっていた。

「戦いの時に、気を付けるべき事を聞いていかないか?」

1人の兵士が話し掛けてきた。

「はい。お願いします。」

「戦場では、自分の周りだけを見ていたのでは勝利はおぼつかないぞ。全体を見通す力、大局を見ることが重要なんだ。」

「ありがとうございました。」

クレスは親切な兵士に感謝の言葉を述べると、その場を立ち去った。

「へえー、ここではこんなこともしているのか。」

色々な道具を器用に投げてはキャッチする芸を見世物にしている男がおり、周りには人々が集まっていた。

「ほっほっほ、ジャグチとは面白いもんじゃのぅ〜。」

老人が喜んでそう言っているのを聞いて、クレスは密かに思った。

(もしかして、ジャグラーの間違いじゃ・・・。)

「そういえば、数日前にオルソンの家に騎士が出入りしていたが何だったんだろうかのぅ?」

(伯父さんの家に騎士が?一体?)

少し気になりながらも、クレスはせっかくユークリッドへ来たのだからとあちこち見て歩いた。

とある民家では奥さんが鏡を見ながら呟いていた。

「外に出るなら、お肌に注意しなくちゃねハート

冷や汗

その様子にクレスは思わず冷や汗を流していた。

「ママ、早くジャグラー身に行こうよ〜。」

子どもは鏡に夢中の母親の洋服を必死で引っ張っている。

クレスはそっと民家を後にすると、雑貨屋の前を通りかかった。

『便利な雑貨屋
  旅のカバンにグミひとつ!
  各種グミのお求めはこちらで』

雑貨屋の前にはそんな看板がかかっていた。

その近くに立っていた剣士に話を聞いてみると、彼はクレスの父について語った。

「かつて、ミゲール殿はユークリッド騎士団の団長を務めておられたと聞いている。その武勇は、ユークリッド大陸全土に轟き渡っている。一度お手合わせ願いたいものだ。」

そんな父ももうこの世にはいない。

クレスは思わず涙ぐみそうになりながら、雑貨屋『ベイビー』と武具店『ホーリーナイト』を覗いてみた。

ホーリーナイトへ足を踏み入れると、武器屋の店員は愛想良くクレスを迎えてくれた。

「いらっしゃ〜い。」

しかし防具屋の店員は後ろを向いて眠っていた。

「あの〜、すみません。」

「・・・・・・。」

クレスが声を掛けても店員は気付かないようである。

「す・み・ま・せ〜ん!!」

「!」

店員はようやく気が付き、慌てて振り返った。

「ご、ごめんなさい。すごくヒマだったから・・・。」

「いえ、あの、ウッドシールドが欲しいんですが。」

「これで宜しいですか?」

「はい。」

「ありがとう、また来てね。」

クレスは次に宿屋へと足を向けた。

- 第13話完 -

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